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猫額洞の日々

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2007年 08月 16日

「苦笑風呂」読了

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 (写真はクリックすると拡大します。)

 戦後に出版されたロッパ随筆を読む。48(昭和23)年刊なので紙質は
よくないが、愉しかった。少し引用する。

< まことに、「映画人」といふ言葉を作つたのは僕なのである。
  それは前記の「映画時代」が、文藝春秋社から発行されることになり、
 その創刊号の文案を練つていた時である。
  文藝春秋社から創刊される雑誌のことであるから、小説家や詩人の
 有名な人達の原稿も集まつたし、一方映画畑の人々のも沢山集まつたので、
 「文壇人、映画界の人々挙つて執筆」と、かう書いてみたのだが、文壇人
 に対して、「映画界の人々」では語呂も悪いし、字顔(ヅラ)も面白くない
 ので、色々考へた末に、「映画人」といふ新語を創り出したのである。
 「文壇人映画人挙つて執筆」と、さう書いたのである。>
 (p79 できるだけ旧仮名遣いにしましたが、できないものもあります。)

 また、「酷暑」という言葉は最近できたのかと思っていたが、
< 八月の酷暑を、京都南座と大阪千日前の大劇で過し、そのまま東京へ
 帰らずに、九月は京都に残つて、大映で撮影といふことになつた。>(p131)

 「おかぐら兄弟」という稲垣浩監督、片岡千恵蔵・古川緑波主演の映画の
製作年がわかれば、古川緑波が「酷暑」を用いた時期も特定できるのだが、
48年以前であるとは言える。

     (古川緑波 雄鶏社 48初)

[2015年3月6日 追記]
 検索してみたら、「おかぐら兄弟」は1946年製作。2007年当時では、
グーグル検索も思いつかなかったし、試みたとしても出てこなかったのでは
ないかしら。

by byogakudo | 2007-08-16 15:42 | 読書ノート | Comments(0)


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