猫額洞の日々

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2007年 09月 08日

「未来世界の子供たち」読了

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 (写真はクリックすると拡大します。)

 サイエントロジー普及のためのSFだった。

 自治少年団のロジックも、馬鹿なジャリどもの集まりだと否定する大人
(主人公? 宇宙戦争に10年行っている間に、親権は自治少年団に移って
いることが納得できないマッチョ・タイプか。)も、同じように感情制御で
あらゆる病いの発症は抑えられると考えているところなぞ、二者の違いが
わからない。

 内ゲバの話にも思えてしまう。どちらも冷静にふるまうが、畢竟、相手を
支配しようという意志力しか見えないのだが。どんなに、それが相手のために
なると考えた上の行動であっても。つまり、アメリカ的おせっかいの構図と
読んでしまった。わたしが悪いのか。

 でも不気味である。行ったことないけれど、性格改造セミナーみたいな
ことを自治少年団はしているし__自分が属する班の中で、反省と悔悟の
言葉を述べるシーンが出て来る。__、宇宙の英雄たる大人の主人公らしき
男は奥さんとけんかすると、いつも奥さんの心理分析をしては、彼女が言い
そうな言葉を先回りして代わりに言ってのける。女相手にいちばん、やっては
ならない、まずいやり方じゃないか。

 昨日、少年団が性欲を無視していると記したのはまちがい。一応認めて
いるが、その認め方というのが、とことんプラグマティック(という言葉を
ここで使っていいのか自信がないが)。性交しなければいい、自慰しなさい
という実用家庭の医学である。ストレスを溜込まずに健康的に生きようって
ことだろうが、憧れや思いを、どうしてくれる?!

 自治少年団に対立する大人の設定を間違えたせいで、ドラマがしまらない。
結局、ヴォークトはサイエントロジー擁護推進SFを書いただけではないか。
残念だ。
     (A.E.ヴァン・ヴォークト 創元推理文庫 77初)

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by byogakudo | 2007-09-08 17:46 | 読書ノート | Comments(0)


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