2007年 10月 01日

「ゴーレム100(百乗)」読了

e0030187_14595186.jpg









 アルフレッド・ベスター、1980年の作品。とても剛胆な作風に、
変わりないベスター像を見る。翻訳はさぞ大変だっただろう。

 「ブレードランナー」風のスラム化した大都市、有閑夫人たちが
お遊びで悪魔を召喚しようと試みたら、あらあら、潜在意識からイドの
怪物が現実世界に侵入。怪物退治に力を合わせるは、インド系警察高官、
フランス・日本・アイルランド系の科学者、そしてブラック系女性の
精神工学者である。
 「虎よ、虎よ!」よりも多いイラストレーション。潜在意識下に下りて
イドの怪物を探るシーンは、イラスト+台詞の頁が続く。楽譜形式の
イラストもある。

 なんでもありの力強さでぐんぐん引っ張る。土曜日は結局、ひと晩で
読み終えてしまった。ひと息に読むのが、やはり正しい読み方だ。

 エンディングはまあ、それしかない終り方であるが、タフであることの
清々しさに心打たれる。ひよわな魂と肉体で世界を救済しようってのも
感動的ではあるのでしょうが、あんまり無理しないでと言いたくもなる。
ベスター的に剛胆に馬力をかけて、やくざなSF(ほら話)を書き通す体力・
気力を、誰にでもどこにでも求める気はないが、この清々しさはよかった。
 フェイヴァリット作家でも作品でもないけれど、アメリカ的エンタテイン
メントとして、いい作品であり作家だ。
   (渡辺佐智江訳 国書刊行会 07初帯)
[PR]

by byogakudo | 2007-10-01 15:03 | 読書ノート | Comments(0)


<< 芽句 登場      早退します >>