猫額洞の日々

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2007年 11月 25日

小姑目線でTVドラマ「点と線」を見た

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 昭和30年代ブーム? ほんとかなあ。こんなに時代考証がゆるい
TVドラマを見て__いや、自分の思い出に浸るきっかけにしてる
だけだろう__「昔はよかった」と言いたいのか。

 赤坂の割烹?の女中(と「女中」と言っていた点は結構だ)の
死体シーン。紫色のお被布を着ているのにひっかかる。重箱の隅
センサーが発動する。

 女中仲間が登場して違和感の理由がわかった。耳隠し風の髪型と
いい、着ている着物のセンスといい、これでは戦前のカフエーの
女給である。

 原作は昭和32-33年にかけて週刊誌に連載されたそうだが、昭和
30年代に好まれていたのは「モダン・キモノ」と称すべき、もっと
洋服の色柄や仕立てに近い着物である。お被布も老婦人は着ていたが、
若い女中が着るなら「吾妻コート」と呼ばれた洋服風・被布であろう。

 ヘアスタイルの古風さもわかっちゃいない。赤坂という土地柄を
考えたら、もっとモダーンであってよいだろう。ビーハイヴ・ヘア
でもおかしくない。鼈甲のかんざしが覗くなんて、当時ありえない。

 昭和30年代と戦後すぐの20年代後半の違いも弁えられていない。
汽車の中でビートたけしにドロップを勧める(キャンディーではなく
ドロップでしょう)米兵と結婚した女はかわいい女優であったが、
これも服がへんだった。敗戦直後のパンパン風俗にしか見えない。

 撮影現場は40代以下で固められていたのだろうか。監督を始め
スタッフ全員、昭和の戦前戦後と、戦後の風俗の推移に注意を
払わず、CGで東京駅プラットフォームが再現できたことで満足
してしまったのか。

 あと、ビートたけしの刑事が、奥さん手作りの帽子を肌身離さない
設定であるのはいいけれど、彼の人柄として、死体置場で遺体を前に
したときは、やはり脱いで手にもってしゃべるんじゃないか?
 ビートたけしの口調が、何度聞いても東京の町っ子なのは
あきらめるとしても。

 TVで放送されると「『点と線』ありませんか?」と尋ねるお客さま
が出るだろうな。本は映画化・TVドラマ化され、TVで宣伝されなければ
思い出されない。
 「相済みません、切らしております」とお答えするだけですけど。
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by byogakudo | 2007-11-25 12:52 | 雑録 | Comments(2)
Commented by 岡崎武志 at 2007-11-25 22:22 x
ううん、みごとな考証です。気がつかなかった。ぼくもいま「天と線」見てますが、ビートたけしを主役にしてしまったことで、いろいろ不都合が起きてしまっている。当時の鉄道の長旅の感じが出てないなあ、と僕は思いました。
Commented by byogakudo at 2007-11-26 16:52
恐縮です。蒸気機関車の旅はトンネルに入ると、窓を閉めて
いても煤煙を防げず、ワイシャツの襟が汚れる、と決まった
ものですが。


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