猫額洞の日々

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2007年 12月 12日

桜庭一樹「私の男」読了

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 "lemon incest story" がいまの日本を舞台に書けるとは・・・。
前作「青年のための読書クラブ」とはがらりと文体も変り、父と
娘の近親相姦をモティーフにしたサイコ・ホラーである。桜庭一樹、
すごいや。

 全6章、それぞれ話者を換え、視点を変えながら、遡って物語を
紡ぎ出す。最終章を読み終えて第1章に戻れば、出口のない世界が
俯瞰される構造である。

 孤立・孤絶したふたりきりの関係の中で、究極の同一化を図ろうと
する父と娘。腐臭にまみれたグロテスクな美の世界が、血のにおいを
漂わせて描かれる。

 「甘い蜜の部屋」みたいな言葉のみで構築された観念小説では
ありません。甘美さにうっとりする余裕のない、追いつめられた
暗い迫力ある物語を、一晩で読み終えた。
     (文藝春秋 07初帯)
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by byogakudo | 2007-12-12 13:57 | 読書ノート | Comments(0)


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