2008年 01月 06日

車谷弘「銀座の柳」読了

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 写真は神楽坂散歩で見かけた窓。

 車谷弘の「上手なコラムの書き方見本」風文章は、最初の俳句と
俳人に関した箇所だけだったので、ほっとして続きを読み終える。
 (「水原捕手」というタイトルで目を引いておいて、水原秋桜子が
一高時代キャッチャーだった話を出す、なぞという技巧が鼻についた
のだ。)

 本や本の装丁についての文章は、本好きがストレートに伝わって来て
いやみがなく、素直に読める。

 筑摩書房版「世界文学大系」の「史記」上下巻を
<・・・四冊に分解して、製本屋にたのんで、軽装版に仕立直して
 もらった。表紙も、肌ざわりのやわらかい和紙をつかったので、
 いかにも枕頭の書にふさわしい手軽なものとなった。>
(「銀座の柳」p115)

 少年時代から本と本作りが好きで
<私はこの銀座をテーマに、甘い、感傷的な歌を、いくつかつくった。
 そして和紙に一ページ二首ずつ墨書して、袋とじの小型本をつくった。
 表紙は厚紙に千代紙をはり合わせて、「銀座の柳」と題筌も自分で
 書いた。>(同上p117~118)

 文藝春秋社に入ってからの装幀は、プロではないというので、装幀者と
しての名前は出さなかったらしい。しかしいちばん気に入っている
「菊池寛文学全集」の装幀は、これには装幀者として名乗りたくなった
のであるが__

<四六判で、函も明るいセピアにして、背文字も活字拡大の白ぬきに
 した。表紙は漆黒の布装に、背文字は白の箔押し、見返しは表紙と
 同じような漆黒、扉は白地にセピアの文字で、はなぎれは水色に
 した。しおりの色もセピアをえらんだ。
  これはセピアと、黒と、水色の、わずか三色に限定し乍ら、函から
 本をひき出す感じ、表紙、見返し、扉とつづく明暗の感触に、造本者の
 演出がある。
  「函は羽織、表紙はきもの、見返しは裏地、はなぎれは襦袢の襟と
 考えると、大体に於いて間違いはないよ」
  というのは、佐野繁次郎画伯に教わった言葉だったが、...>
(『菊池寛文学全集』p155)
__しかし、装幀者として小さく名前を入れようと思っていたこの巻が
とっくに配本されていることに気づかなかった、というオチがつく。

 初ボケですね、今週の新着欄のご案内を忘れていました。よろしく。
 新着欄
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by byogakudo | 2008-01-06 13:08 | 読書ノート | Comments(0)


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