雪は地面にふれた瞬間、消えてしまう。このまま雨になってくれ。
積もった雪を溶かしてくれ、暗くならないうちに。わたしが滑るから。
転んで怪我すると店が開けられなくなるから。
と身勝手な願いごとをしながら、今日は閉店休業に決めた猫額洞。
身支度してワゴンを出すには寒すぎて、からだを壊しそうなので。
昨夜は小林信彦「紳士同盟ふたたび」(新潮文庫 86初)を読む。
ついに発見、日本人も封筒にメモをとるシーン!と思ったら便箋
だった。残念である。
< 彼は会社の名入りの便箋(びんせん)を裏返しにして、プロットを
メモし始めた。>(第二章 p87)
前作から4年後、ちょうどバブル経済期の真っ只中に書かれた
作品なので、地上げに高額絵画蒐集なぞ、当時の話題がうまく
はめ込まれている。
世界同時株安危機の現在に読んでいるのも妙なものだが、小説の
数人によるコン・ゲームの可憐さに比すと、世界規模の信用詐欺が
暴露された結果じゃないさ、と思うだけ。結果の酷烈さにさらされる
のは、権力に関係ない個人なのだけれど。