猫額洞の日々

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2008年 02月 11日

子母澤寛「二丁目の角の物語」読了

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 これはSも好きそうだ。早く読み終えなくてはと思い、昨夜
急いで読了。そんなに焦ることないのに。でも面白かったから
いきおい読む速度も上がる。

 典雅な貧乏物語だった。北海道で食い詰め、友人を頼って
一家で東京に向かう。函館では
<「私」と女房は一ぱいの「かけそば」を二人で食べて、
 子供には弁当を買ってやった。>(p10)

 訪ねて行った会社は銀座二丁目の角のビルだが、士族の商法の
成れの果て、気息奄々で明日にも潰れようとしていた。そこから
貧との戦いの日々が新たに始まるのだが、おっとりした口調で
昔話として語られるせいなのか、世並みがよかったからなのか、
悠揚迫らざるおおらかな貧乏物語であった。

 エッセイしか読んでない子母澤寛。「愛猿記」に続く愛読書に
なった。伊丹一三による函絵と文字(二丁目の角の物語 下母澤寛
__の二行は明朝体かと思ったら彼の作字)も感じがいい。

     (文藝春秋 63初函)
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by byogakudo | 2008-02-11 14:32 | 読書ノート | Comments(0)


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