2008年 03月 04日

「トレント自身の事件」読了

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 この程度のひどさだったら昔の探偵小説にはザラにある。
まったく問題なし。都筑道夫の名言「トリックよりも
レトリック」を、時間を遡って拳拳服膺させたくなる、
そんな昔ミステリというだけです。

 外来語の日本語訳例をいくつかノートしておく。
・プラットフォームは「歩廊(ホーム)」(この時代からすでに
「ホーム」と略されていたのか)(p12他)。

・パセリは「和蘭芹(パセリー)」(p89他)。

・「身振狂言」には「パントマイム」のルビ(p91)。

・< ・・・それから両側がこう廊になつてゐる大通りも
あつた。> (p147)。「こう」は手へんに「共」。たぶん
「アーケイド」だろう。

・「社交廊(ロビー)」(p341)。同頁に
<・・・ロンドンの上空で「フワグ・サツカー」(蹴球)が
行はれてゐると直ぐ知れた。>の「フワグ」の音が取れない。
なんだろう?

 ところで肖像画家・トレント氏の仲良しの叔母さま、
ジュディス・イエーツの年齢は誤植か、それともこれでよいのか。
<風変わりな老婦人>で<彼女は四十歳になつて、初めて
 イギリスを離れようとしてゐるのだつた。>(p10~11)
とあるけれど、彼女が親しい若い女優との年齢差は
たしか三十歳くらいと書いてあったようだが(また付箋を
入れ損なった)、それでは女優というより子役ではないか。

 しかし、わたしの叔母(母の妹)の記憶によれば
昭和30年代の新聞でも
「『40歳の老婆、交通事故で死亡』なんて記事が
あったのよ。ほんとだから」、ということなので、かつては
「四十歳の老婦人」が実在したのだろう。

   (E.C.ベントレイ 春秋社 37初 函欠)
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by byogakudo | 2008-03-04 13:58 | 読書ノート | Comments(0)


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