猫額洞の日々

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2008年 03月 29日

「ネットvs.リアルの衝突」読了

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 マニュアル本でも読んでいればいいものを、何が愉しくて
PCとインターネットの史的考察本を読む? SF代わりに
読んでいるのだろうか?

 初期のPCには、ヒッピー思想の影響が強かったという記事に
驚く。
 天上の神々である政府や軍関連施設だけでなく、人民にも
コンピュータを使わせろ、とまずは技術者たちからプロメテウス的
運動が起り、最初はインテリや技術者だけの小規模使用から
全地球的な使用へと、福音書記述者の情熱で広まったそうである。

 つまり現実の政府や国家の枠組みを超えた個々人同士が
並列的につながることができる道具としての、PC牧歌時代が
あったそうな。(そんなに見知らぬ他者とつながりたい欲望を、
ひとは持つものであろうか。)

 思いもよらなかった。機械が苦手でPCに使われている意識しか
もてない人間にとっては、まさかという話だ。

 端々に黄金時代へのルサンチマンが感じられる記述であるが、
たとえばオフィスOA化に間に合わず、PCに触れる機会を逃した
人々への救済は気にならないだろうか? 福音書記述者の情熱が
あるのなら。
 新書判でそこまで筆を伸ばすスペースがなかったから?
それともPC信者以外は相手にしない、という立場であろうか。
 そこらに疑問を抱く。理想主義者の現実無視の感じも受けるし。

 また、著者がかつて雑誌に書いた、すべてのもの(TVやPCや
冷蔵庫内の食品にまで)にICタグが付き、携帯電話でチェックして
必要な買い物をすませたりする未来像なぞ悪夢としか思えないが、
本気でそれを便利と捉えているようで、つき合いづらい。
 記憶を外注して、それで余った時間を有効に使う? その手間の
方がわずらわしいと考える輩には、PCはやはり無用の長物かしら。

 否応なしに使って(使わされて)いる立場なので、どうも
共感が持ちにくいのに、なんで読んでるの?と話が戻る。
 敵を知りたいのでしょうか。

 わたしとあなたが現実の一空間で相対してしゃべる。この一瞬の
全状況をすべて情報化できる、とまで言いたいのかなあ?
 
     (佐々木俊尚 文春新書 06初帯)

 今週の新着欄です。よろしく。
 新着欄
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by byogakudo | 2008-03-29 15:06 | 読書ノート | Comments(0)


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