2008年 04月 06日

プリーストは風太郎である

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 と言いきってよいのか、最後まで読まなければ、ほんとは
言えないけれど、第二章を終わった範囲での感想が、
プリースト=風太郎。

 だって、手記を書いている双生児の片割れ、パイロットに
なった方が接触するのが、チャーチルとルドルフ・ヘスの
本物と影武者である。まったく山田風太郎の明治もの・
稗史小説の構造ではないか、史実と架空の人物との交錯する
様子は。
 もしや風太郎は英訳されていて、プリーストはそれに
ヒントを得たんじゃないかとまで妄想した。

 もうひとつ予想される展開は、クロネンバーグ「戦慄の絆」だ。
一卵性双生児がひとりの女性に恋するパターンからの類推だが、
いまのところ、これは強調されていない。
 一応、不倫の恋も__彼女は良心的兵役拒否者の方と
結婚するが、パイロットとの間に娘が生まれたようだ。__
記されている。
 何しろ双生児ふたりとも頭文字はJ.L.である。これが
キーなのかな。

 昨日あやふやだった時代設定は1941年が正しい。ヒトラーに
よるイギリス本土への空襲が激しくなった頃、ということだ。

 戦争が民間人を殺すありさまが静かに語られる。パイロットは
「やられたら、やりかえせ」という人々の思いも理解し、
任務としてドイツに爆弾を投下するが、前線を襲うのではなく
民間人の住む地帯を襲撃する作戦に疑問を抱きながら、従事する。

 (クリストファー・プリースト「双生児」 早川書房 07年3刷帯)
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by byogakudo | 2008-04-06 13:04 | 読書ノート | Comments(0)


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