2008年 04月 09日

プリースト「双生児」読了

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 近頃では「パラレルワールド」とは言わなくてalternate history
「改変歴史」と呼ぶらしい。知らなかった。その「改変歴史」もの
である詳細が丁寧に解説されているが、読み終わってから解説頁を
見て、そこまで細かく書かれていたかと驚く。

 多次元ジグソーパズルみたいな構造で、「改変歴史」を了解して
改めて頭の中で再構成してみると、たしかにこれなら最後の
1ピース、「最終的にこの物語をまとめたのは誰だ?」という
疑問にも答えてくれる。よく考えられた小説構造だ。

 てっきり戦争秘話を書く小説家の部分が外枠だと思っていた。
甘かった。そこまで含んだ「改変歴史」だったのか。

 原題が" The Separation "、邦題は「双生児」。この日本語
題名でよかったかどうか。読みながら「双生児」→「ふたごの
間の葛藤・分離」と、ともすればメロドラマティックな連想が
働く。けれど「分離」とか「岐路」とタイトルして、売行きは
どうなるだろう? やはり「双生児」かな。

 実験的な構成でありながらストーリー自体は充分にメロドラマ風
経緯を辿るので、読みやすく、かなり早く読める小説なのに、
振り返るとあっと言わせる。巧い。

 本を読みながら、気がつくと本から離れて、本に触発された
何かを考えていることがある。その連想部分が記述されている
ような感じも受けた。これはどこに起因しているのだろう。

   (クリストファー・プリースト 早川書房 07年3刷帯)
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by byogakudo | 2008-04-09 16:58 | 読書ノート | Comments(0)


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