写真は和田堀付近でSが昨日撮った。同日、わたしは通りすがりに
近所のお宅の藤棚を見る。屋内から藤を見上げていたのが元検番の
老夫人。以前、本を売っていただいた方で、立ち話する。
彼女は四谷荒木町の検番に生まれ、中野新橋・検番の鼓の師匠に
嫁がれた。今でも艶っぽく張りのある声で話される。かっこいい!
昨夜は「狐の書評」(狐 本の雑誌社 活字倶楽部 92初 VJ 帯)を
読む。評判通り、ほんとに巧い。短い書評のお手本みたいだ。
スタイリッシュな名人芸の世界。教養の蓄積から出てくるレトリックの
見事さ。なんて、もの知らずが恥知らずに褒めてよいものか。
夜中は「エッフェル塔の潜水夫」。エッフェル塔の下に捨てられて
いたファンファン・ラ・トゥールが主人公って訳でもないのか、
その時々の物語の流れの中で、中心になって語られる人物が変る。
しかし、幽霊や幽霊船の存在を、どうやって合理的にオチを
つけるか、エンディングが心配になってきた。