2008年 04月 24日

「エッフェル塔の潜水夫」読了、「青春の影 ジョヴァンニーノ」へ

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 案じた通り、謎解き部分が苦しい「エッフェル塔の潜水夫」
(カミ 講談社文庫 76初)。軽やかに展開してきたツケが溜まった
かのように、泥くさく説明される。バランス感覚が悪いのかな。
 コーコ・シリーズでの確認もせぬまま読了。

 昨夜から「青春の影 ジョヴァンニーノ」(エルコレ・パッティ
角川文庫 78初)。店で冒頭部分を読み、イケそうなので持ち帰る。

 作者については何も知らないが、1931年のシチリア島・
カターニヤのブルジョア青年の自伝的物語だ。

 五感に訴える描写がいい。ガス灯がともる室内で、真ん中が
へこんだソファに沈み込んで「ニック・カーター」ものを
再読する青年という始まりから惹きつけられた。

 町に漂う秋の匂い、避暑が終わり、また厭な学校生活に
戻らなければならない倦怠感。近所の少女との淡い恋に続く
色っぽい女中との性愛(んっ、「青い体験」シリーズ?)、
街頭では共産党党員と警官隊との衝突事件が起り、親戚の青年は
マフィアとのつき合いもあるが、世界から隔絶された安らかな繭で
あるかのようなブルジョア家庭の描写。
 日本の大正から昭和にかけての小説でも読んでいる気がしてくる。
なんだか可憐で好きだ。

 お師匠さんがいらしたので広論社・探偵怪奇小説選集について
お尋ねしたが、彼もご存知ではなかった。
 全28巻がほんとに出たかも危ぶまれるとおっしゃる。21・22巻
「アンソロジー戦前」「アンソロジー戦後」がもし出ていたら
面白いのだが、と。
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by byogakudo | 2008-04-24 14:02 | 読書ノート | Comments(0)


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