猫額洞の日々

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2008年 06月 19日

「グラディーヴァ/妄想と夢」を読み始める

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 また読む本がなくなり、枕元から「グラディーヴァ/妄想と夢」
(イェンゼン/フロイト 作品社 96初帯)を引き出す。
 たぶん96-97年頃に買って、そのままだった。渋谷Bunkamuraに
丸善があったとき、いや、もうNADIFになっていた頃だろうか。

 後書きのポンペイや神話の解説をまず読み、本文に入ると、
これは、足フェティシズムの物語?!

 古代ローマ期かと思われる女性像レリーフの、歩む足の角度が
問題になっている。
<・・・サンダーレを履いた両足がむき出しになっていた。左足が
 前に出、右足はいましもその後を追おうとして親指の先端で
 わずかにかるく地面にふれていたが、一方、足裏と踵(かかと)は
 ほとんど垂直の角度で持ち上がっていた。>(p8)

 こんな歩き方ができるものだろうかと、石膏複製されたレリーフの
持ち主、若いディレッタント考古学者は、自らの足で試してみるが、
<・・・彼の足ではかならず、右足を後から引きずる動作がそれほど
 険しい角度は取らない格好になった。数学的に図式化すれば、彼の
 足では、停止してややしばし持ち堪えている間、地面に対して
 四十五度角に立つのがせいぜいで、・・・。>(p12)

 若い学者の奮闘ではあるが、20cm近いピンヒールでも履けば、
足裏は地面にほぼ垂直になるけれど、サンダルではありえない。
バレリーナが片足だけ、トゥで立てば垂直になるが、歩くとなると
___ここでモンティ・パイソンを思い出しては、やっぱりまずいか。
 はい、世紀末文学を読んでいるのでした。

 男と女では歩き方が違うかも知れないと思いついた考古学者は、
街に出て生体観察に励む。大理石やブロンズ像ではない、生身の女に
目をやるのは初めてである。
<それが認識衝動に駆られて学問的熱狂に陥り、是が非でもと
 必要と目(もく)される珍妙な調査にのりだしたのである。・・・
 比較的人通りの少ない街角に出たほうが成果が上がりそうだった。
 ・・・それでも辛抱強く、晴れの日も雨の日も探求は続いた。
 そこで分かった。雨の日のほうが成功率は断然高かったのである。
 雨天だとご婦人方はドレスの裾をからげるからだ。探りを入れる
 ように脚に向けたノルベルト[注: 考古学者]の視線がどうしても
 相手の目を惹いた。・・・>(p15)

 作者だって冗談ぽく書いている。読みながら笑ってもいいでしょう、
たとえ世紀末文学だって?
 だけど怪奇小説や世紀末文学を笑いながら読むようになっては、
人間、おしまいではないかしら。悩む。
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by byogakudo | 2008-06-19 14:00 | 読書ノート | Comments(0)


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