猫額洞の日々

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2008年 06月 28日

「メグレと殺された容疑者」読了

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 モンマルトルで水商売を手広く営む、やり手の男が殺されるが、
彼は商売にそぐわず、とても家庭的で仕事熱心だ。仕事のやり方も
堅実・地道、周りからはやっかみ半分、「小商人」呼ばわりされても、
やくざにも税務署にも文句をつけさせない営業方針を貫く。

 ノルマンディーの漁師の息子である彼が結婚したのは、イタリア
移民の娘。結婚(正確には再婚)と同時に妻の母親を引き取り、
妻の妹は秘書になり姉夫婦宅に同居、兄は店を一軒委ねられる。
 メグレいわく
<「要するにエミール[注: 殺された男]は、家族全員と結婚したような
 ものだな・・・」>(p27)
 とてもイタリアっぽい背景である。

 エンディング近くでメグレは、警察官として不手際な処置をとる。
人情としては理解できるが、法に私情を挟むようなふるまいである。
犯人に情けをかける行為は、エンタテインメントとしては、それで
正解かも知れないが、小説としては軽くなるのではないか。

     (ジョルジュ・シムノン 河出書房新社 78初帯 VJ)
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by byogakudo | 2008-06-28 13:24 | 読書ノート | Comments(0)


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