猫額洞の日々

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2008年 07月 02日

プリースト「魔法」読了

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 「ああ、やっぱり、こう来るのね」な最後の転回点のために、
長い長い叙述が繰り広げられる、「語りは騙りである」物語。

 「語り=騙り」という言回しはなんとなく、HISTORYをHIS
STORYと読み替えるような輩を思い出させて、ダサくていやだ
けれど、他に適当な言葉が浮かばない。より適切な言辞を求め
ようとする、そこまでの親切心(?)が、どうにも発動しない。
 クリストファー・プリーストは、わたしにとって、そんな
作家だ。悪くはない。ちゃんと考えられた構成で、仕上がりも
破綻なくできている。が、可愛くない。

 彼のポストモダン(死語)な「文学」志向が鬱陶しいのだろうか。
原作が発表された1984年には、この試みは斬新なものと受止め
られただろうが、いま読んでびっくりする人は、いるかしら。
 小説を読みながら、作者の「費用対効果」目線ばかり感じ取る
読み手の側の感受性の問題もあるけれど、思いと思考と言語表現とが
一体化した、スタージョンやディックやヴォークトみたいな、
そんな作家の作品をやはり読んでいたい。

 けして不出来な作品ではない、とこれだけ言った後で今更つけ加えても
遅いが、ジョナサン・キャロル(現代作家を知らないので槍玉にあがって
もらう)風のゆるさを思えば、立派なものだ。

   (ハヤカワ文庫 05初)
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by byogakudo | 2008-07-02 13:18 | 読書ノート | Comments(0)


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