2008年 07月 07日

平松剛/磯崎新の「都庁」 読了

e0030187_14151321.jpg











 新宿都庁ビルは、丹下健三に死に花を咲かさせて上げよう、
というプロジェクトだと思っていたが、そんなにシンプルな
話でもなかった。

 戦中に大人であった丹下と、小学生だった磯崎。国家の伸張と
個人の成長・努力とを同方向に意識できた建築家と、廃墟が国の
始まりであり、個人と国家との離反意識が出発点であった建築作家
との違いが、建築態度に違いを生み出す。
 師匠と弟子の関係であったが、父と息子の関係も少し感じられる。

 建築家はピュアにアーティストとは言いがたい存在だ。特に
公共建築の場合、政治的折衝が仕事に含まれる。そこを物ともせず
建築行為の達成に邁進する建築家と、まず自分が面白がれるものを
つくることをメインに見据える建築作家との相違。

 コンペに勝った丹下ではあるが、彼がかつて設計した最初の
都庁舎は壊されることが前提の、新宿都庁舎コンペ参加である。
 それでも作りたかったのか、野心を欠く人間には理解しにくい
のだが。

 対比して語られる丹下が、ヒールとして描かれていない。そこが
ふくらみのある日本近代建築史として読めた理由だろう。

   (文藝春秋 08初帯)

(7月8日に続く)
[PR]

by byogakudo | 2008-07-07 14:25 | 読書ノート | Comments(2)
Commented by kizashino at 2008-07-08 04:21 x
緑色したブリキの鉄板をレトリストは打楽器にできるのかな、
Commented by byogakudo at 2008-07-08 16:55
ビートは音色を叩き出す。  St   


<< 磯崎新の「都庁」 補遺      平松剛/磯崎新の「都庁」 を読... >>