2008年 07月 09日

ハートリー「ポドロ島」に戻る

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 ハートリーは怪奇短篇集で何か1篇、読んでいるが、表題作
「ポドロ島」は、それほどすごいと思わなかった。ウェルメイドだが。
いまは怪談読みの気分じゃないのだろうか。

 そう思いながらも続く短篇を読んでいたら、第3篇「足から先に」が
すばらしい! 
 途中まではよくある古風な怪談の筋立て、古い屋敷に出る幽霊の
物語だ。家に取り憑くのではなく、人に取り憑く若い女の幽霊で、
彼女のからだと接触して、屋内に導いた人に取り憑く。

 取り憑かれた人は発病し、死に至る。同じ家の中に、もうひとり
瀕死の病人でもあれば、転移させられるのだが。

 たまたま滞在中の婚約者が取り憑かれてしまった娘は、我が身を
引換えにしてでも彼を救いたいと願う。自殺では身代わりにならない。
 誰か、何か、方法はないかと狂おしい気持ちで視る、彼女の幻覚
シーンが、唐突なのに不自然ではない。
 無茶な展開なのに、この説得力はどこから来るのだろう? 

   (文藝春秋 08初帯)
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by byogakudo | 2008-07-09 13:17 | 読書ノート | Comments(0)


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