猫額洞の日々

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2008年 07月 21日

柳下毅一郎「愛は死より冷たい」読了

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 ファスビンダー・ファンであるのに、これ又大して見ていない。
題名の「愛は死より冷たい」がファスビンダー作品名であることも
解っていなかった。女は駄目だと言われそう。

 収載されたインタヴュー、評論、どれも面白かったが中でも、
ファスビンダーに関する評伝と考察「ライナー・ヴェルナー・
ファスビンダーは魂を食う」が感動的。
 「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」の話から始まる。嬉しい。
 オールタイム・ベストの一編が「ベロニカ・フォスのあこがれ」
であると知ると、握手を求めたくなる。
 冷え冷えと苦々しく、けれども、わたしのために撮られた映画
であると信じたくなる、そんな作品だった。

 「エートル叢書16 ファスビンダー」(渋谷哲也・平沢剛編
現代思潮新社 05初帯)を読む前に、これを読んでいればよかった。
 「エートル叢書」版は、ファスビンダーの伝記部分は当然、
読者は解っているものとして編集されたようだが、評伝的知識が
ないと、ファスビンダー映画の女優たちの対談が収録されていても、
ピンと来ない。ファスビンダーと彼の(男女の)劇団員たちとの
サドマゾ的関係が背後にあって、あれらの対談になったと、やっと
解った。

 作家が問題ではない、作品が問題である。その通りだ。
 でも、作品は空中から自動的に発生するわけもなく、作家の肉体から
濾過されて出現するのではないか。

   (洋泉社 02再帯)
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by byogakudo | 2008-07-21 13:38 | 読書ノート | Comments(0)


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