猫額洞の日々

byogakudo.exblog.jp
ブログトップ
2008年 07月 24日

林芙美子+チェスタトン+スタージョン+E・ポール!

e0030187_12432048.jpg











 「林芙美子随筆集」(岩波文庫 03年3刷)中に「菊池寛氏」という
探訪記が収載されている(新聞に掲載されて後、「文学的断章」に
収められたと、後書きにある)。

<[注:菊池寛に苦手意識を感じながら赴き]
  「さて文学に対する苦心を一ツ」とも切り出せるもんじゃなし、
 文藝春秋社の社長室で、私は相変らず同行の春子氏に助力を乞うて、
 ただ先生の近くを呆(ぼ)んやりと堂々めぐりなのであった。>(p135)

<春子女史は恐れげもなく、先生の似顔を描きながら、「菊池さんは、
 金にも女にも興味がないとしたら退屈じゃありませんか」と妙な
 ことを尋ねている。私はまた自分が間抜けた訪問者であることを
 気兼なくさらけ出しながら、呆んやり春子女史と先生の話に耳を
 かたむけている風をしているのだ。>(p136)

< 競馬の話や、生命保険や美人の話が出たが、それは春子さんとの
 対話だ。>(p139)

 この<春子女史>は長谷川春子? 「菊池寛氏」の前にある
「鏑木清方氏」を見たら(飛び飛びに読んでいる)、

< 門を這入(はい)ると、並んで和洋二つの玄関があり、まず、
 どっちのベルを押してよいのか見当がつかない。そこは同行の
 女画家[長谷川]春子氏にまかせてぼんやり私はつっ立っていた。
 [略]
 出て来られた清方氏はその部屋にぴったり似合っていて、枯淡で
 渋い江戸ッ子型のひと。じっと、春子氏との対話をきいていると、
 清方氏は何もか彼も解りすぎてしまっていて、何も彼(か)も
 莫迦(ばか)々々しく見えやしないかと思えたほどであった。>(p131)

< 弟子思いの方で、春子氏のお話のなかにもそのお弟子の話が出た。>
(p132)

 女性作家と女性画家ふたりによる文化人探訪、という企画だったのか。

 チェスタトンは大昔に読んだ「木曜の男」(創元推理文庫 00年25刷)、
再読中。

 やっと「20世紀SF (2) 1950年代 初めの終わり」(ディック/
ブラッドベリ他 河出文庫 00初)を開いて、スタージョン「たとえ
世界を失っても」だけ読む。
 「奇妙な」と「ゲイの」の二つの意味をもつ言葉・queer、その両方に
当てはまる話。宇宙人と地球人の悩めるホモセクシュアル同士で共感する。

 一昨日お師匠さんがいらしてハートリー他をお返しした折、
 「もしやエリオット・ポールの『不思議なミッキー・フィン』は
お持ちでは?」とお尋ねしたら、今日暑い最中、わざわざ届けに
来て下さる。
 「先に読んでいいよ」

 なんてひどい弟子だろう。恐縮と反省しながら、でも今夜は
エリオット・ポール!
[PR]

by byogakudo | 2008-07-24 12:43 | 読書ノート | Comments(4)
Commented by ちわみ at 2008-09-23 21:50 x
2ヶ月前の日記にコメントで恐縮ですが、長谷川春子と林芙美子は
「改造」で絵:春子 文:林芙美子のコンビで作家訪問をやってました。
春子の著作を再度見てみましたが、該当する文章が見当たらず。
私が読んだ本のどこかに書いてあったはずなのですが。

長谷川春子の『戯画漫文』という本には昭和初期の作家や画家の
絵がかなり掲載されているのですが、菊池寛は見当たりませんでした。
全部はのっけてないのかもしれません。『林芙美子随筆集』読んでみます。
Commented by byogakudo at 2008-09-25 19:20
コメントありがとうございます。こちらこそ恐縮です。
「改造」だったのですね。
門前の小僧式に「春子」に反応して抜き書きしました。
Commented by ちわみ at 2008-09-25 19:52 x
たびたびすみません。
長谷川春子の『恐妻塚縁起』という本に「どじょうすくいを踊る女仙人」
という文章があり(林芙美子が亡くなったときのもの?)、見直したら
「ある新聞で新年の読物に彼女が文を書き、私が画を描いて大物訪問
をやらされた」とあったので、「改造」ではありませんでした。
姉の長谷川時雨と林芙美子の仲はぎくしゃくしてましたが、妹の春子
とは頻繁に会いはしなかったけど気軽に話し合える仲だったようです。

菊池寛にずけずけと質問するあたりがいかにも春子っぽいですね。
Commented by byogakudo at 2008-09-26 20:25
いま「林芙美子随筆集」が手元にないのですが、後ろの解説頁に
掲載紙(誌)が書いてあったかもしれません。


<< 熱下の五反田へ      雀百までポップス忘れず/暑中お見舞い >>