2008年 07月 30日

「真実の問題」「浅草ミステリー傑作選」読了

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 巻末の都筑道夫による解説では、ハーバート・ブリーンは
<アメリカふうな衒学と怪奇味を配した__つまりカーから
 イギリス趣味をぬいたような、不可能犯罪もの>(p275)を
書いてきたが、5作目の「真実の問題」では作風が変わった。

 このようなむしろ実録タイプが、彼の本筋であるらしいが、
お師匠さんに言わせれば、これ以来、翻訳されなくなったという。
 都筑道夫は
<探偵小説が普通の小説に近づき、普通の小説が探偵小説に
 近づいている現在[注: 1958年頃]の傾向を、よくしめして
 いる作品といえるだろう。>(p276)
という理解であるが。

 若い刑事の悩みとミステリとを結びつけて書こうとする意図は、
わからなくもないけれど、でもなんだかモタモタした印象だ。
 ふたつの異なる要素が、ぐいと一点に集中されなければ
ならないのに、フォーカスが甘くて、あまり成功した試みには
見えなかった。
   (ハーバート・ブリーン HPB 58初)

 綺堂と乱歩は結局飛ばしたまま、「浅草ミステリー傑作選」
(都筑道夫他 河出文庫 87初)読了。日影丈吉「吉備津の窯」は
やっぱり傑作だ。大川の濁りがにぶく照り映えているような
不気味さが素敵。
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by byogakudo | 2008-07-30 13:01 | 読書ノート | Comments(0)


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