猫額洞の日々

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2008年 08月 19日

G・アデア「ロジャー・マーガトロイドのしわざ」読了

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 巻末の解説によれば、この本は、クリスティ<『アクロイド殺し』に
捧げられたオマージュであり、かつその批評兼パロディ>(p231)である
そうな。

 解説を先に読んでみると、「ポストモダン」云々の評が出てくる。
「ポストモダン」小説と聞くと「ヤオイ」の親戚かと条件反射する、
文学史への無知と偏見丸出しな奴が、読んで愉しめるだろうか。
 それにしても「ポストモダン」って、この場合、どんな意味だろう?
「自己言及的」も、その範疇だろうか?

 ときは1935年、場所は英国の田園地帯。クリスマスに屋敷に集った
人々の間で、密室殺人事件発生。豪雪に鎖され、警察に連絡することも
かなわないが、クリスティ作品のアリアドニ・オリヴァならぬイヴァドニ・
マウントなる女性推理作家が客人にいる。引退した元スコットランドヤード
警部も近所に住む。ふたりが推理に火花を散らす。

 まったくクリスティそのものな世界だ。「ヤオイ」と違い、ちゃんと
事件も解決するので、安心した。
 あとは様々な細事への目配せを愉しめばいい。
 関係者の聴取で語られるエピソードで、遺産を南仏で浪費したときの
話には
< それから、ある晩、マーフィー夫妻、ジェラルドとサラがヴィル
 フランシュの<ホテル・ウェルカム>で催したパーティで、・・・>
(p115)とある。山田風太郎の明治ものの趣向が、ポストモダンって
ことかしら。

 雇い人たちが階下に集まってお喋りする場面で、メイドの若い女が
一所懸命、自分が読んだイヴァドニ・マウントの探偵小説を説明する。
 しかし、倒叙法で書かれ、さらに第一章の視点とそれ以外の章の
視点が異なることが最後に明かされる構造なので、聞いている
人々にはちっとも理解されない(読者はわかる)、という場面が
おかしかった。

   (ギルバート・アデア HPB 08初 VJ帯)
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by byogakudo | 2008-08-19 13:20 | 読書ノート | Comments(0)


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