2008年 08月 30日

ディック「アルファ系衛星の氏族たち」読了

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 今週の新着欄です。よろしく。
 新着欄

 おとといフィリップ・K・ディック「アルファ系衛星の氏族たち」
(創元SF文庫 92初)読了。夫婦間の葛藤が舞台を宇宙に移しても活写
される、ディックおとくいの神経症SF。と言ってしまうとあんまりだが、
まあ、そんなストーリー。

 アルファ系衛星のひとつが各種精神病の地球人だけのコロニーとなり、
調査に訪れるのが主人公の元妻であるマリッジ・カウンセラー。彼女に
殺意を抱く主人公(CIA職員)は彼女を追ってアルファ系衛星に行く。

 そこで見るのは、精神病者と地球からは呼ばれているが、健常者間
に発生するできごと(陰謀・葛藤・妄想)と大差ない世界。
 敵の敵は味方理論で、誰につくべきか検討する主人公の混乱ぶりを
描くシーンなぞ、これぞディック・ワールド。

 主人公は元妻とよりを戻し、コロニーでひとつの氏族として
生き延びようと決意する場面で終わる。だが、攻撃的で上昇志向の強い
彼女と、ほんとにパートナーとして再出発できるだろうか。不安を残す
終わり方である。
 主人公に味方してくれるのが、宇宙からきたテレパス能力をもつ粘菌、
というのが泣かせる。

 昨日から「むずかしい愛」(カルヴィーノ 岩波文庫 95初)を読みかけ。
でも、「宇宙の操り人形」と「人間狩り」(どちらもちくま文庫)が
入ったので、再読しようかな。
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by byogakudo | 2008-08-30 15:03 | 読書ノート | Comments(0)


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