猫額洞の日々

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2008年 09月 07日

蒼井上鷹「まだ殺してやらない」読了

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 昨日の新着欄にディックをもう1冊、追加。生世話ものSF・
決定版、「アルファ系衛星の氏族たち」です。

 お師匠さんからお借りした「まだ殺してやらない」(蒼井上鷹
講談社 ノベルス 08初帯)をおととい読了。
 感想としては、やっぱり「尺が足りない」。

 探偵小説は、伏線をそうと気づかれないよう、人物や行動に
さり気なく触れながら、盛り上げるべきところは盛り上げて
書いて行く。長篇にはそれなりの長さが必要で、不足すると
展開が慌ただしくなる。「シノプシスか?」と思われることに
なる。

 前回指摘した、女探偵が次章で被害者になる忙しさは結局、
後半、犯人像決定時まで祟ったようで、善意が悪を惹き起す
というテーマが薄れた印象だ。

 たしかに現実にも残虐な殺人事件は起きているし、テーマも
悪くないんだけれど、泥くささを払拭した本格派探偵小説の
実行は、困難ということだろうか。読者の鼻面を引っ張り回す
手つきがドタバタしていては、探偵小説の愉しさがあまり味わえない。
 それもこれも、長さが足りないから。

 ああ、今日も褒めなかった。美点を見つけようと決心(?)して
読んでいたのに。
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by byogakudo | 2008-09-07 12:44 | 読書ノート | Comments(0)


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