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写真は、あらかわ遊園・観覧車から見えた隅田川。
~10月16日より続く
昨夜、サミュエル・ベケット「マーフィ」(ハヤカワNV文庫 72初)読了。
小説には形式ってないのだと、了解する。いかようにも書けるのが、
小説を書く上でいちばん難しい条件かもしれない。
ベケットも名前しか知らず、読むのはこれが初めてだが、コメディタッチに
進行するビートニクの物語として読んだ。
労働を拒否するマーフィは、ガールフレンドから仕事に就くことを
求められ、ついに精神病院の職員に理想の環境を見いだす。
外部との接触を断った完璧な球体の自我をもつ人間が生きられる場所、
それが精神病院であると、マーフィは考える。
理想郷に入った彼は、女友だちも他の友人たちも、もはや必要としない。
理想人(精神病患者)たちとの違いのない看護人、マーフィである。
たぶん20世紀文明の疎外とかなんとか言うべきであろうが、ビートコメディ
として読んだので、そこらの議論は誰かにお任せしよう。
(1)サミュエル・ベケット「マーフィ」
(2)サミュエル・ベケット「マーフィ」