猫額洞の日々

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2008年 10月 22日

ヘミングウェイ「移動祝祭日」読了

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 食わず嫌いの小説家のひとり、ヘミングウェイを初めて読むのが
「移動祝祭日」(三笠書房 64初函)であったのは、偶然とはいえ
すばらしいできごとだ。

 いきなりパリに冬が訪れる、まさにその瞬間から第一章「サン・
ミシェル広場の良いカフェ」は始まる。これだけでいい、とまで
思うほどだ。

< それからわるいお天気になった。秋が終ったときの或る日に、
 それはやってくるのだ。私たちは、雨に備えて、夜、窓をしめ
 なくてはならない。[中略]
  冬の最初の冷雨とともに、この都市のすべての悲しみが、
 突然やってきた。[以下略]>(p23~24)

 あの日のことを何て的確に書けるんだろう。わたしがそれを体験
したのは、それから50年も後のことであるのに。

 「シェイクスピア・アンド・カンパニイ書店」(シルヴィア・ビーチ
河出書房新社 74初)は、もう以前に読んで記憶も薄れているが、
パリのアメリカ人たちの当時の交流の様子が、ヘミングウェイの側
から記される。

 書くことに専念して、あまり人づき合いのよくないヘミングウェイ
だが、カフェの前を通るヒレア・ベロック__名前しか知らない。
チェスタトンの友人?__を見かけたと信じていたら、それは
アリースター・クロウリーだと教えられる、妙な話もある。
(「フォード・マドックス・フォードと悪魔の弟子」p129~134)

 スコットとゼルダ・フィッツジェラルドについては三章が費やされる。
ゼルダ=悪妻説の根拠になったのだろう。女が読むと、「ゼルダは
スコットの仕事に嫉妬している」と書くヘミングウェイは、スコットに
恋してるせいでゼルダに嫉妬している、という解釈になるが。
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by byogakudo | 2008-10-22 14:34 | 読書ノート | Comments(0)


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