猫額洞の日々

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2008年 11月 10日

「清貧の書」より又1篇

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 今度は「足袋と鶯」より、伏字のご紹介。
 
<__夜霧の深い湿つた晩だつた。温習会のかへり、勝子は本家へ
風呂を貰ひに行き、満子と浩吉が髪結所の二階へ帰つて来た。襖を
あけると、こほろぎが二匹あわてて飛びはねてゐた。壁にぶらさげた
三味線、古い長火鉢、朱塗りの小さい鏡臺、そんなものが、浩吉を
愉しくしたのか、部屋に這入るなり浩吉は、長火鉢の火種をさがして
ゐる満子の・・・・・・・・・・。あわてて満子がむやみに顔を振る
ので、浩吉は満子の・・・・・・・・・・・・・・をして、照れた
やうに立ちあがつて帰つて行つた。>(p304)

 赤坂の待合の娘・満子は、浮気者の噂の高い男・浩吉に
心惹かれている。待合の娘であることが彼の気に入らないのでは
ないかと考え、妹の勝子とともに家の近所に下宿している。
 勝子の温習会の後のできごとである。

 最初の十字、あとの十四字に入る文字は何だろう? 大した
ことはない描写であろうが、何を入れれば適切か。戦後の全集本を
見れば解るだろうけれど、これはこれで愉しい。

   (林芙美子「清貧の書」 新潮社 1940年70刷)
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by byogakudo | 2008-11-10 13:29 | 読書ノート | Comments(0)


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