2008年 12月 08日

「美しい水死人」読了

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 この短篇集で初めて知った、フェリスベルト・エルナンデス
「水に浮かんだ家」がすばらしい!

 夫を旅先のスイスで亡くした夫人は、辛さに耐えかねイタリアに
移る。ホテルの窓から見た噴水の水に、彼女は啓示を受ける。

 <わたしの眼ざしが水のなかから引きだし、自分の目と魂を
満たしたさまざまな思いは、その考えから生まれてきたんです。
そのとき初めて、人間は水のなかで追憶を育てなければ
ならないんだと悟りました。水というのは、そこに映ったものを
美しく磨き上げるだけでなく、人間の考えも受けとめてくれるん
ですね。絶望しても水に肉体をゆだねるのではなく、考えを
ゆだねるべきなんです。すると、水がその考えのなかに浸透して
いきます。そうして新しく生まれた考えが、わたしたちの人生の
意味を変えてくれるのです。>(p202~203)

 アルゼンティンに帰国した夫人は、草原の中に「水に浮かんだ
家」を建てる。<子供が海水浴にもっていく浮き輪のようなもの
のうえに家具が浮かべて>(p211)ある、家中が水路である
ような家が、ぼんやりした輪郭線で描かれる。

 不可思議な、水と女性の交感がとても自然に書かれている。
ヘンテコでうつくしい。

   (ガルシア=マルケスほか 福武文庫 95初)

 ところで、明日は臨時休業いたします。
よろしくお願い申上げます。
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by byogakudo | 2008-12-08 14:28 | 読書ノート | Comments(0)


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