猫額洞の日々

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2008年 12月 18日

「天使の歩廊」途中

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 今日も老婆心満開。第一章「冬の陽」では、主人公の幼馴染の
友人(彼も建築家)が仕事の件で訪ねてくる。大正3(1914)年の
できごとである。主人公も友人も33歳くらい。

 明治大正期の学制をよく知らないで言うのは問題だが、
<丈明[注 友人]が泉二[注 主人公]と出会ったのは二十年近く前、
中学校時代のことだが>(p10)とあるのは、新制中学とごっちゃに
なっているような気がして・・・。旧制中学は、いまの新制高校と
同年齢みたいに憶えているのだが、違っていたら失礼。

 同章、依頼先である大名華族の熱海の別荘を訪ねるシーン、
子爵家の先代未亡人が依頼主である。
 丈明が言う。
<「・・・ご先代は薨去(こうきょ)されるまでのあいだ、・・・」>(p13)
子爵の死にも「薨去」は使っていいのかしら。これも疎い問題
なので、じつは適切な使用かもしれないが(間違っていたら
お許し下さい)、泉二が子爵未亡人に対して、
<「亡くなったご先代のこと。あなたご自身のこと。おふたりが
ともにすごされた日々について、くわしくお聞かせ願いたい
のです。」>(p18)と言うのに疑問。

「あなたご自身のこと」? 日本語では相手に呼びかける言葉が
少ないから仕方ない面もあるが、いくら在野の建築家とはいえ、
フランク過ぎるように、わたしは感じた。

 近時代ものというのか近過去ものというのか、当時の人々の
心情を理解した上での台詞回しや説明部分を書く__
しかも今の読者が読んでわかりやすく書くのは、難しいって
わかるけれど。
  
    (中村弦 新潮社 08初帯)
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by byogakudo | 2008-12-18 15:55 | 読書ノート | Comments(0)


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