猫額洞の日々

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2008年 12月 30日

「井上ひさし笑劇全集」読了、ナイオ・マーシュ「殺人者登場」へ

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 昭和40年代の半ば、ということは1970年頃か。最もTVから
遠ざかっていた時期だ。その頃に座付き作者たる井上ひさしは、
てんぷくトリオのために、これらのコントの台本を書いていた。

 てんぷくトリオを知ったのは、たぶん、80年代後半、小林信彦を
読んでからだから、どのみち間に合わなかったのだけれど、
それにしても残念だ。

 脚本で読み取れるのはコントの骨格だけであり、座付き作者は
メンバーひとりひとりを念頭において書いているのに、誰がどの役を
やっているかが解らない。

 ときどき役名が役者名そのままに出て来ることもあり、そのとき
だけ配役が理解でき、舞台を思い浮かべることができるが、
数が少ない。伊東四朗以外のメンバーの個性を知らないから
面白さが半減しているのではなかろうか。

 コントの構成に、対立は欠かせないと解る。弁証法的にできて
いるんだなと解ったけれど、駄洒落のやりとりの可笑しさは
文字で読んでいてもそれほど面白くはなく、TVとはいえライヴで、
動きとともに演じられるのを見るべきであった。
 かなりのスピードで演じられていたのではないか。オンタイムで
見ていなかったのが口惜しい。

     (井上ひさし 講談社文庫 上巻82年10刷 下巻82年8刷)

 昨夜から「殺人者登場」(ナイオ・マーシュ 新潮文庫 59初)。
イギリスの演劇界が舞台のミステリだ。始まって9頁目ですでに
事件発生の兆候があり、10頁目ではスコットランド・ヤードの
捜査課長が観劇に誘われる。手回しのよいこと。ピーター・
ディキンスン「生ける屍」の、読者を試すかのようなテンポの
遅さの真反対だ。
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by byogakudo | 2008-12-30 13:10 | 読書ノート | Comments(0)


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