2009年 02月 17日

A.E.W.メースン「矢の家」途中

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 ディジョンで裕福な未亡人が殺された。殺人容疑で告発された
養女は、ロンドンの顧問弁護士に助けを求める。若い弁護士、
ジム・フロビッシャーがドーヴァー海峡を越えてやって来る。
 養女はコンパニオン(お話し相手)の若い女性と同居している
のだが、その彼女、コンパニオンのアン・アプコット登場シーン
である。

< なんだ、これがアン・アプコットなのか、とフロビッシャーは
思った。彼に手紙をよこした女、彼が二度までも、知らぬ存ぜぬで
押し通した女、このひととなら、前に隣り合せにすわったことが
あったし、話しかけたことだってあった。>(p82)

 しかし、「隣り合せにすわったことがあったし、話しかけたこと
だってあった」とあるが、そんなシーンはp82までに一度として
書かれていない。読み落としたのだろうかと不安になる。

 探偵小説だから、こんなところで足踏みしていても始まらない。
疑問は保留中ながら読み進めて行くと、それから100頁近く後に
なって、この話が詳述された。
 p174からp175にかけて1頁強を費やし、モンテカルロのカジノで
アン・アプコットがスッているとき、ジム・フロビッシャーは逆に大勝ち
していたエピソードが語られる。
 
 ワトスン役のジム・フロビッシャーを中心に書かれた、探偵小説の
語り口と流れの中で、効果的にエピソードを使おうとして、こうなった
のだろうが、それにしても離れ過ぎだ。

 むかしの探偵小説らしい暢気さ、といえば、それまでである。
疑問が解消してよかった。
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by byogakudo | 2009-02-17 12:54 | 読書ノート | Comments(0)


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