猫額洞の日々

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2009年 02月 23日

「つゆのあとさき」読了

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 読み直すと、前とは違うところに反応する。今回は君枝の布団場面
(森茉莉の表現に倣う)である。
 p43より引用。
<[略]君枝は男の胸の上に抱かれたまま、羽織の下に片手を廻し、
帯の掛けを抜いて引き出したので、薄い金紗(きんしゃ)の袷(あわせ)は
捻(ねじ)れながら肩先から滑り落ちて、だんだら染(ぞめ)の長襦袢
(ながじゅばん)の胸もはだけた艶(なまめか)しさ。
[略]
端折(はしょ)りのしごきを解き棄(す)て、膝(ひざ)の上に抱かれたまま
身をそらすようにして仰向(あおむ)きに打倒れて、「みんな取って頂戴
(ちょうだい)、足袋(たび)もよ。」>

 着物を着たことがないので、「帯の掛け」ってなんですか状態であるが、
セクシーさは伝わる。

 ただ、読んでいると、日本の女の描写というより、パリの私娼の身振りに
見えてくる。ベッドに腰かけ、黒いストッキングを巻き取りながら脱ぐパリ女
に見えてしまう。書いているとき、荷風の頭の中にも、パリの記憶があった
のではないかしら。

   (永井荷風 岩波文庫 92改版9刷)
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by byogakudo | 2009-02-23 17:27 | 読書ノート | Comments(0)


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