2009年 02月 28日

イーヴリン・ウォー「囁きの霊園」読了

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 今週の新着欄です。よろしく。
 新着欄

 イーヴリン・ウォーは愉しい。作中でも言及されているが、ヘンリー・
ジェイムズの主題を加害者側(?)から書くと、ウォーになる。
 つまり、アメリカの無垢がヨーロッパの経験に敗北するジェイムズの
悲劇が、ウォーでは喜劇になる、と言っていいだろうか。

 初めは被害者タイプに見える主人公デニスであるが、デイジー・
ミラー型の無垢な(ナイーヴな)ヒロインの自殺をきっかけとして、
終わりには立派にしたたかな英国人として、イギリスに凱旋帰国する
悪漢小説だ。

 ヒロインの名前からしてエイメ・タナトジェノスだから、「囁きの霊園」
ではなく、原題のThe Loved Oneを生かしたタイトルにできなかったか
と、やや残念に思う。
 巻末の由良君美の解説は丁寧ではあるが、ウォーの優雅で意地悪な
喜劇を語る手つきが、あんまり鮮やかでない__身のほど知らずな
感想で、恐縮です。__のと共に、残念だ。

   (早川書房ブラック・ユーモア選集第2巻 70初函)
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by byogakudo | 2009-02-28 14:52 | 読書ノート | Comments(0)


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