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猫額洞の日々

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2009年 03月 02日

都筑道夫「東京夢幻図絵」より1篇再読

都筑道夫「東京夢幻図絵」より1篇再読_e0030187_1751100.jpg











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< 靖国神社から九段坂をくだって、九段下の交叉点の左角、いま
 日本不動産銀行の建っているところに、そのころ野々宮アパートと
 いうのが、あったんです。
  六階建だったか、七階建だったか、とにかく目立つスマートな
 建物で、家具つき電話つきの高級アパートでした。水ノ江滝子や
 岡田嘉子といったスターが住んでいて、有名だったものです。>(p243)

 この数行を確認したくて、古書伊呂波文庫で文庫本(中公文庫 78初)を
買う。以前、銀座アパートメントや野々宮アパートメントについて何か
書こうとして店にある単行本版『東京夢幻図絵』を開いたが、この件りが
見つからない。
 それも道理で、文庫化する際につけ加えられた『道化の首』での記述
である。同篇には続いて、
<[略]野々宮アパートへ入ると、三階まで駆けのぼりました。>(p244)

 とあるが、エレヴェータつきではなかったのか? それともエレヴェータが
降りてくるのが待ちきれずに、駆け上ったのか。6-7階建なら、たぶん
あっただろう。

by byogakudo | 2009-03-02 17:15 | 読書ノート | Comments(4)
Commented by >(m_m)< at 2009-03-02 19:08 x
もう一度調べてみますが、当時は7階まではエレベーターはなかったと思います。

この建物は土浦亀城という建築家が建てた建物で坪内祐三の『靖国』の歴史について語った本にも出てきますよ。
白黒だけど写真も付いていますのでもしよければ見てみてください。
Commented by byogakudo at 2009-03-03 14:05
どうもありがとうございます。いまネット検索してみましたら、http://blog.all-a.net/?eid=400034 に戦前のエレヴェータつき
アパートメントとして野々宮アパートも出ていたのですが、実際は
どうだったのでしょう?

「靖国」、これも読まなければと思って、そのままになっていた本です。
写真入りとは知りませんでした。手に入れなければ。
Commented by >(m_m)< at 2009-03-04 19:32 x
調べたらエレベーター付いてました。
すみません。
Commented by byogakudo at 2009-03-05 12:17
「すみません」、なんてとんでもない。こちらこそ、お手数をおかけ
いたしまして、申訳ありません。
戦前の高級アパートメント仕様が、今では、ごく普通の設備に
なっているのですね。


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