2009年 03月 03日

倉橋由美子「偏愛文学館」読了

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 数十年前に読んだきりの倉橋由美子。再び読むことになるとは。
お久しぶりの感があるが、これは彼女の遺作なのかしら?

 偏愛の対象についてしか書きたくないと記していても、偏嫌(こんな
言葉はないが)する文章に対しては手厳しい。

< 今日では、普通の人は本を読まず、手紙その他の文章も書かず、
 読んだり書いたりするとしても、文章らしい文章は敬遠して、しゃべる
 ように、あるいは携帯電話のメールのように書き、またそんなスタイルで
 書かれたものしか受けつけないようになっています。小説もそんな
 スタイルで書かれ、それが読まれるというわけです。しかし私は、
 メールのやりとりみたいな文章で「ぼくは・・・・・・」「わたしは
 ・・・・・・」調で書かれたものなど、小説だとは思っていません。
 これが私の抜きがたい偏見です。
  小説はすべて『アルゴールの城にて』のようなものでなければならない
 とは思いませんが、今の若者たちのしゃべり方でしゃべり、メールの
 文章と同じ調子で文章を書くような人物が登場するような小説は
 読みたくもないし、勿論自分で書くことなど思いもよりません。これは
 どうやら私自身が「アルゴールの城」のような世界、早くいえばあの世の
 住人になりつつあるということだろうと思います。>(p82-83)

 紹介された中では、マルセル・シュオブ「架空の伝記」とジョン・オーブリー
「名士小伝」が読んでみたい。
   (講談社文庫 08初)
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by byogakudo | 2009-03-03 13:43 | 読書ノート | Comments(0)


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