2009年 03月 06日

テリイ・サザーン「博士の奇妙な冒険」も読了

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 新着欄はできてるし、疲れているから、まあいいかと、古書展行きを
さぼる。金曜日はいつも雨・・・。

 テリイ・サザーン「博士の奇妙な冒険」を読み終えた。出来はいい。

 美人の看護婦・バーバラと若い大学生・ラルフの恋愛場面__
メインは、ドライヴイン・シアターでのネッキングから事に及ぶまでの
描写である。延々、2段組み7頁余りに渡って記される。その前には、
婦長のバーバラへの、どう読んでもレズビアニスムに思えるカットも
挿入されるのだが。__を日常の風景と見れば、平行して書かれる
アイヒナー博士の偏執狂的言動が、無理を感じさせずに読めるから、
試みは成功していると言えるだろう。

 テリイ・サザーンは小説家というよりシナリオ・ライターである
ようで、これもすぐ映画化できそうな作品だ。

 アイヒナー博士がドッペルゲンガー風の男を追って、TVショウ
「わたしの病気は何でしょう」収録スタジオに入り込むシーン__
出てくる病人が、象皮病に魚鱗癬に多発性甲状腺腫、巨大発疹と、
これ見よがしに悪趣味。__や、交通事故の目撃者として出廷した
のに、被告扱いされるカフカ的な法廷場面等、絵になるシーンが多い。
 終盤近く(24章)には、時系列でいえば明らかにもっと後のカットを
割り込ませたり、映画の手法がうまく使われている。

 翻訳者・稲葉明雄の後書きに加えて、小林信彦による「映画における
テリイ・サザーン」という解説・批評つき、である。
 今から40年ほど前の1970年に、サイキデリック・カルチュアを読者に
理解させようとした苦心が忍ばれるが、小林信彦の文章の末尾を引用
したい。

< だが、マスコミにおける才人の"虚像"と"実像"の差を見過ぎている
 私は、もう少し、判断を保留したい。ゴア・ヴィダルとか、テリイ・
 サザーンといった才人たちには、どうも私を納得させぬ何かがある。
 もちろん、それは、彼らの才能を充分にみとめた上での話なのだけれども。>

 ゴア・ヴィダル「大予言者カルキ」に感じた違和感・残念さの正体は、
これだったのかしら。

   (テリイ・サザーン 早川書房ブラック・ユーモア選集第4巻
   「怪船マジック・クリスチャン号」 70初 函 帯 月報)
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by byogakudo | 2009-03-06 13:44 | 読書ノート | Comments(0)


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