2009年 03月 11日

「誰にも出来る殺人」読了/「東京夢幻図絵」に戻る

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 山田風太郎は自身が認めるように、ミステリ作家とは言いがたいようだ。
ちゃんとミステリになっていて、阿呆らしくない謎解きを見せてくれるが、
たぶん資質として推理小説をはみ出す部分が強くて、後の忍法帖シリーズや
明治ものといった伝奇小説に移ったのだろうな、と再確認。
   (山田風太郎 教養文庫 77初)

 比べて都筑道夫は、根っからのミステリ作家だ。ミステリという枠組み
(型)が、性に合っているのだろう。制限(型)があるからこそ自由に
ふるまえる、といったら、チェスタトン丸出し(特に「詩人と狂人たち」)
になるけれど。

 「東京夢幻図絵」は愉しく書かれているが、ただ、都筑道夫はときどき、
自分の決めたルールにがんじがらめになっていると、思うことがある。
ルールなしのゲームは存在しないが、読者にまでルールの厳格さを強要
しているかのように感じられるときが、ある。伝奇小説に多いが。

 もう少し書き飛ばしてみても良かったんじゃないかと、普段は書きっ
ぱなしの文体を憎む奴が、都筑道夫の一種の窮屈さに対しては、逆の
ことを感じたりする。
 読者は身勝手だ。
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by byogakudo | 2009-03-11 13:51 | 読書ノート | Comments(0)


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