2009年 03月 22日

「ブライトン・ロック」2/3強

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 「あたし、フェア・プレイが好き」というのが<たつた一つの生活
哲学>(p81下段)である陽気で生命力あふれるネメシスを、私娼
呼ばわりするのは酷かも知れないが、「ちょっとお手洗いに」行く度に
50ドルだったかをせしめるホリー・ゴライトリーも、分別すれば私娼
である。浮かれ女と呼ぶ方が親切(?)かしら。

 殺人は一つでは終らなくなる。17歳のチンピラは又ひとり、仲間を
殺害する。組織とも言えない、小さな自分のシマを守るために、という
立て前であるが、実際は我が身を守るためである。
 貧民窟出身の少年は、同じトライブである、善良かつ貧相なウェイト
レスとの結婚を決意する。殺害に関して彼女の口を塞ぐために、
性生活を嫌悪しながらも、結婚を申し込む。

 ネメシスは、チンピラとウェイトレスとが所属するカトリックから見れば、
現世のことしか頭にない、恐るべき無神論者である。

<[略]その女はまるで外国にいるようだつた。大陸に旅行中の典型的
 イギリス婦人。彼女は会話入門書も持つていなかつた。彼女は、天国
 から(あるいは地獄から)へだたつているほどに、彼ら二人からも遠く
 へだたつていた。善(good)と悪(evil)とは同じ国に住み、同じ国語を
 語り、幼な馴染のようにいつしよに現れ、一つの完成を意識しながら、
 鉄の寝台のそばで手をふれあつていたのである。>(p136上下段)
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by byogakudo | 2009-03-22 15:32 | 読書ノート | Comments(2)
Commented by まつもと・のぶあき at 2009-03-22 20:54 x
 こんばんは。
 本日の巻頭写真は実用品のようにも見えれば、造形物のようにも見えます。芸術作品ならば、作家は差し詰めデュシャンあたりでしょうか.....。

 街中を歩いていて、気にも留めずに通り過ぎてしまえば、ただの換気塔なのかもしれませんが、こうして作品になると何かしら特別な物体に見えてくるので不思議です。フォトグラファーさんにも宜しくご伝言を.....。草々
Commented by byogakudo at 2009-03-23 13:17
コメントありがとうございます。
写真では分り難いですが半地下のようなところに
位置しており化学実験の通風口と思われました。  S


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