2009年 03月 26日

グレアム・グリーン「拳銃売ります」読了

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 グレアム・グリーンってゲイだろうか? ネットを見ると少女買春は
しているかも知れないが、少年を買った様子はない。
 2冊続けて読むと、どちらも女のアクチュアルなたくましさが
丁寧に(?)描かれていて、それで女嫌いのゲイかしらと思ったのだが。

 「拳銃売ります」のヒロインは、「ブライトン・ロック」のアイダ
みたようなネメシスの神話的巨大さは持たない。結婚して家庭に
落ちつきたいと願うコーラスガールだ。

 武器業者に便利に使われて、知らずに、自分の仲間である筈の
清廉な政治家を殺した殺人者に、仇討ちさせてやりたいと、彼に
殺されないためもあって協力するが__ここでも正・不正レヴェル
での仇討ち(と自己保存本能)__、その一方、警察に殺し屋の
情報を与える。

 殺し屋はいちおう敵は取ったが、警察に殺される。恋人である警官と
ともにロンドンへ戻る車中、仕方ないとは言え殺人者を裏切ったことを
考えるヒロインだが、彼女の省察はロンドンが近づくと消え失せる。
 女の自己分析は徹底しないのが通例だけれど、女の薄情さが皮肉
ではなく、よく出ている。聖性は遠い。

 長めの中編では、「ブライトン・ロック」的カトリック性と現世との
対立までは書きこめないから、これはこれでいいのだろう。

   (早川書房グレアム・グリーン選集第5巻 59初 VJ付/函欠)
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by byogakudo | 2009-03-26 13:05 | 読書ノート | Comments(0)


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