猫額洞の日々

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2016年 03月 28日 ( 1 )


2016年 03月 28日

ジェームス・ヤング/柳下毅一郎 訳『ニコ/ラスト・ボヘミアン』もう少しで読了

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 いい本だ、予想通り/予想以上に。晩年のニコのサポートバンド・
メンバー(キーボード担当)、ジェームス・ヤングによる、シュトルム・
ウント・ドランクなニコとの日々の回想。

 予想通りなのは、ジャンキー・ニコについての記述だ。バロウズの
『ジャンキー』に語られるように、ジャンキーの生活は単調で退屈だ。
規則正しい麻薬時間に支配される。クスリが切れたら、なんとかして
手にいれ、時の流れを、ライフを正常に戻す。

< ニコはいまだにヘロインのコネをつけられず、エコー[注:バンド・メンバー]
 のメタドンでは足りなかった。あれ抜きではステージへあがることができない。
 というわけで、ニコはいまや惨めなほどにわずかな負け犬どもの顔に浮かぶ、
 退屈や敵意と向かいあわねばならなかった。ヘロインは彼女をくるみ、ドレッ
 シングルームからステージへ押し出して、観客に向かって表現する目的を完成
 してくれた。ヘロインは意志の代用品だったのだ。>(p102 『ピンクヴィルで
 朝食を▼82年7~8月』『シカゴ』)

 予想以上だったのが、ニコの創り出す音楽への愛と敬意だ。つまり、ニコという
存在への。
 文体は頑なにシニカルな姿勢を崩さないし、会話は、ろれつの廻らない、間延び
したジャンキー口調やブロークンな口語体をできるだけ忠実に再現しようとしていて、
最初は読みづらいと感じるが、愛と敬意が通奏低音として流れているので、これは
いい本だ。そういうことだ。

 ジョン・ケールと共に『カメラ・オブスキュラ』作ったとき、ニコが休暇から
戻ってきて__

< ようやく何曲か、完成まではいたっていない曲ができてきた。
 [略]
 まだ荒かったが、それはわれわれがヴィデオでやった騒音コンテストの
 一千倍も濃密に響いた。遊惰にあっても、ニコは彼女だけの、本性の
 スタイルをもっていた。それが発揮されていた__あのクソったれな
 ハーモニウムで。われわれがつけ加えたのはすべて薄っぺらな、小手先の
 小細工だった。彼女の才能の前には、われわれは単なるおしかけ客でしか
 なかったのだ。>(p192 『諜報活動▼85年4月』『ジョン・ケール』)

     (ジェームス・ヤング/柳下毅一郎 訳『ニコ/ラスト・ボヘミアン』
     宝島社 1993初 帯 J)

3月29日に続く~





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by byogakudo | 2016-03-28 21:36 | 読書ノート | Comments(0)