2017年 03月 21日 ( 1 )


2017年 03月 21日

(5)プリースト『ドリーム・マシン』に追加+リチャード・マイルス/井上正実 訳『雨にぬれた舗道』読了

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~3月20日より続く

 昨日はヘマなまとめ方をしてしまって悲しいな。大事なところを
書き落とし、どうでもいいことを書き残す。何年、読書感想文を書き
続けてるんだろう。

 1985年現在の記憶を失い、2135年に生きる分身の記憶しか持た
ないデイヴィッド・ハークマンが1985年度の新聞の切抜きを見つける
場面だ。
 彼は自分がなぜウェセックスに惹きつけられ、中でもとりわけメイドン・
カースルに引き寄せられるのかを、ようやく理解する。
 この地、ウェセックスが自分やジューリアを含む人々によって夢見られ、
研究所が置かれたのがメイドン・カースルだったからだ。夢見られたウェ
セックスは地震活動によって(!)島国であるイギリスからも分離した、
小さな島である。気候変動が起き、波乗りまでできる、君知るや南の国。
 夢見られるに完璧な設定だ。

< 数分のあいだ、古びた新聞の切りぬきを見つめているうちに、
 この昔の切りぬきそのものが、人間とその科学技術が沈滞に陥る
 ことなく、まだ未来を志向することのできたあの楽天主義的な過去の
 時代と現在とを結ぶ絆であることをハークマンは悟った。メイドン・
 カースルそのものがかつての時代の敵に対する防備として築かれ、
 時の経過からくる腐敗に耐えて生きのびたのと同じように、そそくさと
 書かれて印刷されたこの切りぬきの言葉も、その作成者たちより長生き
 したのだ。
  人は塵である。だが、言葉や考えは生きつづけるのだ。>(p263)

 以上のような箇所を入れてまとめたかった。


     (クリストファー・プリースト/中村保男 訳『ドリーム・マシン』
     創元推理文庫SF 1979初 J)


 
 小説を映画にするのは難しい。実写映画には役者が使われ、役柄に、
固定した顔を与えるから。
 えっ、ニコール・キッドマン(/キルスティン・ダンスト/ジュリア・
ロバーツ/ジュリエット・ビノシュ)が演るの? やだなあ、見る気が
しないよ、って事態が発生する。
 映画からのノヴェライズも難しい。どちらも元ネタに引きずられて、
不本意なことになるのだろう。

 とても残念だが映画館で『雨にぬれた舗道』を見ていない。サンディ・
デニスは、うつくしい。

 原作(原題"That cold day in the park")はというと(翻訳で読む限り)、
間が抜けてるとしか思わないが、ほんとにベストセラーだったのかしら?
(この程度でないとベストセラーにならない?)

 英米人の作家がフランス人を主人公に、パリを舞台にした物語を書く。
ここからして無茶だ。作家もそれを知っていたのだろう、間奏曲風にパリの
アメリカ人のエピソードを挿入して、英語圏の読者のためのつなぎを入れる。

 けれども、いちばんの問題がヒロインの性格設定だ。
 パリに住む孤独を好む中年のブルジョア女性が、雨の日にテュイルリ
公園で出会った無口な金髪の美少年/美青年に心を奪われる。
 黙りこくっているので彼を唖だと勘違いして、自分のアパルトマンに
連れ込み、二人で引きこもって暮らそうと決心する。
 ジョン・ファウルズ『コレクター』(1963年刊行)にインスパイアされて
(?)、性別を逆にしたストーリー"That cold day in the park"(1965年刊)
を思いついたんじゃないかと、つい考えてしまうのだが。

 美少年/美青年を風呂に入れてやる。彼は彼女の目の前で無頓着に服を
脱ぐ。

<ふだんのわたしは、[略]裸体に対しては臆病ともいえるほどの羞恥
 (しゅうち)があるのです。ですけれど、このときばかりは別でござい
 ました。
 [略]
 まるで恥ずかしくないのです。わたしは、まともに彼の裸体を眺めました。
 [略]
  肌は全身くまなく焼け、どこにも白い跡は残っておりません。南国の強い
 太陽が、一点の隈(くま)なく、小麦色に染めあげているのです。白金色の
 毛が太腿(ふともも)をおおい、彼のその部分に群れていました。けれども、
 胸の部分はまだ少年らしくツルンとしていて、乳首のまわりに黄金色の毛が
 わずかに生えているだけでした。足はたくましく筋肉が張り、腰もきりっと
 締まっていました。>(p11)

 10代の女の子を手にいれた中年男が、彼女の肉体をパート毎に細かく観察
して目を喜ばせるのを、そのまま性を入れ替えても成立すると作者は考えてる
ようだ。阿呆らしさに泣けてくる。
 がんばって読み終えたが、映画版は偉い!

 予算の都合もあるだろうが、パリではなくヴァンクーヴァー、美少年/美青年の
生活環境も変えてある。アメリカで映画化するに正しいやり方だろう。
 DVDにならないかなあ。サンディ・デニスのファンが少ない(だろう)から
難しいかなあ。


     (リチャード・マイルス/井上正実 訳『雨にぬれた舗道』
     角川文庫 1970再 裸本)
 


呪 吐爛腐/呪 心臓亜屁/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/

 毎日、「森友学園」で責め立てられるので、困ったときには外遊。
まだ原発にしがみつく亜屁心臓。留守中に共謀罪を閣議決定させて。

 「西日本新聞」『堤論 明日へ』【森友学園問題】 平野 啓一郎さん





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by byogakudo | 2017-03-21 17:40 | 読書ノート | Comments(0)