猫額洞の日々

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2017年 05月 07日 ( 1 )


2017年 05月 07日

森まゆみ『東京ひがし案内』読了

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 2007年7月から2009年1月まで「WEBちくま」に連載
された「てくてく歴史散歩」を文庫オリジナルとして編集、
2010年刊行。
<街は変化しますが、取材当時の姿を留めました。>と
巻末に記される。

 『千石 さよなら三百人劇場』では、都市公団の文京グリーン
コートの一室を借りようかと見に行き、高いので断念した。

< 帰り、[注:文京グリーンコート]一階のイタリア料理店にランチ
 に寄った。地下には郵便局もスーパーもあり、住んだらどんなにか
 便利だろう。店員が注文をイタリア語で大声でくり返す。他のスタッフ
 が唱和する。客にとってはうるさいだけなのに、彼らは芝居の役者の
 ように余裕たっぷりだ。いまの「おしゃれ」って、ただの自己満足
 みたい。文京区も旧小石川と旧本郷、坂の上と下では微妙に人気
 (じんき)がちがう。私はやっぱり山の手より下町の方が気が合う。>
(p111)

 『浅草 昔ながらのうまいもの店』より__

< やっぱり、昔からの店がいい。
  たとえば、「並木の薮」。入ると油石を敷き詰めた床にテーブル、
 左側に小上り。座ったとたん、ぴしっと四つに畳んだ夕刊紙が出て
 くる。待つ間、お読み下さいというのだろう。>(p146-147)

< 鰻の「前川」は江戸の文化年間からやっている。
 [略]
 ここの仲居さんは決して皿を卓上で重ねない。床に置いた盆まで下げて
 から重ねる。こんな当然のことが、最近できた店では果されていない。>
(p147-148)

 『日本橋 生きた日本史ツアー』は、日本橋三越で眼鏡を作ったとき
のこと__

< じつをいうと、ビンボー時代が長かったので、デパートで物を買う
 という習慣がない。
 [略]
 で、ちょっとおどおどした。しかし、七階のメガネサロンには多くの
 背広紳士が立ち働き、とってもていねいに検眼して、意外に手頃な
 値段でレンズを入れてくれた。
 [略]
 これからは、眼鏡と靴だけは[略]安物買いの銭失いはすまい、と思った。>
(p168-169)

 目が悪い、いちばん下の息子も三越へ連れてゆく。
< 検眼中、「おつかれ様でございました」「よくお似合いになりますよ」
 「お待たせして申し訳ございません」。そんな心のこもった正確な日本の
 敬語があちこちで聞こえ、いやされる。日頃、ひどい客あしらいに傷つく
 ことが多いものだから。>(p169)


     (森まゆみ『東京ひがし案内』 ちくま文庫 2010初 帯 J)



呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/

 「恣意的な運用は日常茶飯事」 亀石弁護士が語る共謀罪

< ――共謀罪の捜査が当たり前になれば、市民生活にどんな影響があると。

  「目立ったことをすれば監視される」と考えさせるだけで、萎縮効果は
 抜群。権力に異議を唱える声は少なくなるでしょうね。タトゥーの裁判で
 さえ、「応援したいけど、警察に目を付けられるのは困る」という人が
 たくさんいます。

  つい先日、出演するテレビ番組の打ち合わせで男性プロデューサーが
 発した質問が印象的でした。「法案が通ったら、私たち一般市民は
 どんなことに気を付ければいいんでしょうか」と。思わず「気を付け
 なくていい!」と返しました。

  私たちには憲法で保障された集会の自由や表現の自由がある。それは
 法律よりも保障されなければならない。もし自由にやって摘発される
 ようなことがあれば、その時こそ私たち刑事弁護人や心ある裁判官たちの
 出番です。みんなが「気を付けて」暮らす社会なんて、私は絶対に嫌です。>





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by byogakudo | 2017-05-07 21:15 | 読書ノート | Comments(2)