猫額洞の日々

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2017年 09月 16日 ( 1 )


2017年 09月 16日

(2)色川武大『寄席放浪記』読了+熊谷朋哉氏のtwitter

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~9月14日より続く


 単行本『寄席放浪記』は、1986年10月に廣済堂出版・刊行。
 『あちゃらかぱいッ』が1987年11月に文藝春秋・刊行、そして
『なつかしい芸人たち』が1989年9月に新潮社・刊行という順序だ。

 『なつかしい芸人たち』や『あちゃらかぱいッ』に登場する鈴木
桂介が『寄席放浪記』の『III ぼくの浅草六区』末の鼎談『キラ星
のごとく輝いていた浅草』に、淀橋太郎とともに登場している。
1985年頃まで健在だったのだ。
 文庫本末尾に"鈴木桂介氏のご遺族にお心当たりの方はご一報
願えると幸いです。"と、ある。文庫版が出た2007年までに連絡
がつかなかったようだが、その後、どうなったのだろう。

 三人で戦前・あのころの浅草の人々の消息話をしていると、当然、
『土屋伍一の大芝居』という項目も立ってくる。

 鈴木桂介が古川緑波・一座にいたころ、松島千鳥という女優が
一座に属していた。淀橋太郎が彼女とデートしたいと鈴木桂介に
頼んだら、

淀橋 [略]「いいよ、向こうへちゃんと話しておくから」と軽く
 引き受けちゃった。だから、ちゃんとしたホテルに泊まるだけ
 のお金を用意して楽屋へ出かけて、「松島千鳥さんに会いたい
 んですが」と言ったら、やがて出てきたのは土屋伍一。こっちは
 土屋伍一の顔は知っているけど、初対面なんです。
 [略]
 「きょう千鳥は都合が悪くてほかへ行かなきゃならないんで、
 わたしが替わりにお供します」と言う(笑)。
 [略]
 だけど千鳥がだめなら一人で帰るよりは少しはましだと思って、
 「じゃ浅草へでも行きますか」「ええ、お供します」てんで、
 地下鉄に乗った。
  その時分、地下鉄には車掌みたいな女の子がいたんです。
 土屋伍一は気が変だと聞いていたから、何かするかなと思って
 いたら、「おねえさん、すまないけどラーメン二人前注文して
 ください」って言うの(笑)。
 [略]
 そう言って私の顔をチラッと見たんです。その顔が「どうだい、
 俺、やっぱし気が狂っているだろう」と、ひょっとその目の光で
 もって読み取った。あっ、これは芝居をしているなと見破った。>
(p257-258) 

 浅草で飲ませて、なぜ、気がふれた真似をしているのか、白状
させた。

 土屋伍一は一座の女の子を妊娠させ、しかも彼女に結婚すると
言ってしまったのだ。結婚する気などないのに。
 ある朝、彼女の父親が訪ねてきたので気が狂ったふりをしようと、

淀橋 [略]「ま、お父さんどうぞ、もうご飯はお済みですか」
 「ええ、食べてまいりました」「ぼく、これからなんですけど」
 と言いながら、新聞の朝刊を食べたんだって。「新聞は何たって
 夕刊がうまいんですよ」って(笑)。それで「お茶いかがですか、
 いま入れますから」とお茶を入れて、その中に煙草をほぐして
 入れて「どうぞ」って勧めた(笑)。>(p258)

 驚いた父親は娘を連れ帰り、結婚せずにすんだけれど、気が狂った
と楽屋で言いふらされているから、噂の責任を取って、気狂いのふり
を続けていたという。

 また、土屋伍一は、高見順『如何なる星の下に』での自分の
描かれ方に怒ったらしい。

淀橋 [略]犬を質に入れたと書かれたから怒ってるんだよ。
 いくら何だって、俺が犬を質に入れるかよ、俺が入れたのは
 猫だって(笑)。>(p261)

 三人揃って和気藹々と、破滅型芸人たちを称賛する鼎談を読んで
いると、ふと、反省する。小器用に生き抜くより、無計算で、
ぶきっちょに死んで行く方が美学的にはすてきだけれど、それを
賛美する側は、生き残っているから賛美もできる。
 長生きしたロマン派は、生き延びてしまった自分自身と、どう
折り合えばいいのだろう。
 それに、破滅型への愛は、玉砕指向とどう違っているのだろう。
息の長さが必要な時代もあるだろう。


     (色川武大『寄席放浪記』 2007年2刷 J)


 熊谷朋哉氏のtwitterから__

<日本のSNSがセルフィッシュさと独特の酷薄さ・残酷さに満ちて
 いるのは日本語の問題なのか社会の問題なのか、それともSNSの
 特性なのか(逆に言うとそういう発言を続ければ人気が出る)。
 誰もがうっすらと気づいている本音の存在が明らかになることの
 快感がエンジンなのだとすると…寂しいですね。>
(11:26 - 2017年9月13日 https://twitter.com/tomoyakumagai/
status/908034167446704128)

<それにしても酷過ぎる気がするな。目立つのは差別、サイコパス
 的な自我/主観へのこだわり、あとは阿諛追従とほのめかしかな。
 また、知的なものが浸透するだけの時間・神経の余裕はなく、
 ある種の耳あたりの良さ(悪さのこともある)/即効性のみが
 求められる。上記を徹底すればSNSで人気が出ます笑>
(8:12 - 2017年9月14日 https://twitter.com/tomoyakumagai/
status/908347746469347328)

__"日本語の問題なのか"は、考えたことがある。感情を記述・吐露
することに長けた(長けすぎる)からかなあとも思うけれど、その
日本語でもって、関係詞の枝が入り組み、生い茂る葉の表裏が錯綜
したフランス現代思想というのか、あれらを何とか読める日本語に
訳しているのだから、まるきり感情記述に限られてはいないと思う
のだが。

 たとえばtwitterでの発言のやり取りをずっと読んでいると、大概、
反対意見の人からの悪意の籠ったtweetも読む破目になる。疲れる。
 読まなきゃいいのに、暇だね、って思うけれど、何がどのように、
いやなのか見なきゃ、とも思う。ご苦労さんな奴だ。





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by byogakudo | 2017-09-16 21:16 | 読書ノート | Comments(0)