猫額洞の日々

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2017年 09月 25日 ( 1 )


2017年 09月 25日

(1)J・G・バラード/柳下毅一郎 監修『J・G・バラード短編全集2』1/3

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 写真は一昨日の美倉橋で。

 単行本は嵩張って重いのに、寝床で少しずつ読んでいる。

 1962年発表の『正常ならざる人々』(山田和子 訳)で描かれる
のは、精神自由(MF)法という悪辣巧妙な法律が施行され、

<精神医療に従事する者はもはや[略]
 交霊術師や呪術師と同じ、ブラック・サイエンスの実践者の
 一員となった>(p86上段)世界での物語だ。

< 超保守主義者たちによる世界連合が十年前に制定した精神
 自由法は、精神医療という職業を禁止し、正常でないとされる
 状態でもそのままでありたいと本人が思うのであれば、それは
 完全な個人の自由であるということを正式な条文として明記した
 もので、いかなる形であれ、この法律に反したら、その人物は
 市民として全面的な不利益をこうむるという付帯条件がついて
 いた。実のところ、MF法の罠、隠された真の目的は、この付帯
 条件のほうだった。MF法制定に至るそもそものきっかけは、
 "サブリミナルな生活"と、政治経済的な目的のもとに大衆を
 操作するテクニックが際限なく拡大していくことに対する、
 一般市民の反発に過ぎなかったのだが、それが急速に、心理
 科学全体へのシステマティックな攻撃へと発展していき、軽微
 な犯罪行為を大めに見る寛容な裁判所や啓蒙(けいもう)的と
 見なされる刑法改正論者から、いわゆる"社会の犠牲者"や
 精神分析医とその患者たちまでもが、激烈な攻撃にさらされる
 ようになった。新しい支配者たちと、彼らを選んだ絶対多数派の
 人々は、本来ならみずからに向けられるべき憎悪の念と不安感を
 手近なスケープゴートに向け、他愛のない市場調査からロボトミー
 にいたるまで、精神操作と見なされるありとあらゆるものを違法と
 した。精神病者は、
 [略]
 みずからの問題に対しては徹頭徹尾(てっとうてつび)、自分だけで
 対処させられることになった。精神病者はコミュニティの"聖なる牛"、
 神聖にして犯すべからざる存在であり、[略]
 そんな彼らに助けの手を差し伸べようとする者は誰であれ禍(わざわい)
 がふりかかることになったのだった。>(p86上段-87上段)

 むかしはバラードのこういう社会派っぽいところが、どうもねと
思ってきたが、いまや、"精神医療"や"MF法"が、あらゆる言葉に
置き換えて読むことが可能な、どうにも現在時の日本のレポート
である。不幸でいまいましくも。


     (J・G・バラード/柳下毅一郎 監修『J・G・バラード短編全集2』
     東京創元社 2017初 帯 J)

9月28日に続く~





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by byogakudo | 2017-09-25 21:48 | 読書ノート | Comments(0)