猫額洞の日々

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2017年 12月 31日 ( 1 )


2017年 12月 31日

吉屋信子『小市民』読了

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 昨日は駒場東大前、河野書店で2冊。森まゆみ『鷗外の坂』
(中公文庫)と、『芥川龍之介全集 8 紀行 日記 詩歌 ほか』
(ちくま文庫)。

 吉屋信子『小市民』の初版は、実業之日本社から1945年に出た版
だろうが、わたしが読んだのは風間完・装幀の東方新書版(1956年)だ。

 吉屋信子は中公文庫でエッセイを2冊くらい、他にはタイトルを忘れたが、
薄くて紙質の悪い本で、恋愛小説を読んだ。快活なフェミニズム・タッチ
だったと思うが。

 『小市民』のエンディングは、寡婦年金を愛国婦人会に寄付するという
書面で終わるから、第二次大戦中に書かれたものだろうか?

 若い男女(靖夫と雪子)が知りあう。どちらも"小市民(プチ・ブルジョアジー)"
階級に属するが、女の方がよりブルジョア(お金持ち)。どちらも父親がいない。
どちらの母親も、そろそろ嫁がせなきゃ、お嫁さんを貰わなきゃと考えている。

 雪子が、大金持ちとのお見合いと知らずに歌舞伎座(『忠臣蔵』の公演)に
行ったら、靖夫も偶然観にきていて、幕間に廊下で逢う。
 ふたりは始めて会話らしい会話をする。

< 「[略]私の母なぞ根からの小市民根性で、ホヽヽヽヽ、成つて居ませんのよ」
 [略]
  「ハヽヽヽヽ、貴女までそんな事を仰しやるのですか、小市民根性というのは
 僕もいつも母に浴せる批評なのですよ」
 [略]
  「[略]今日は僕の会社の慰安会で来て居るのです。[略]僕達は、こんな
 有閑階級的に金と時間を消費させる歌舞伎劇には縁無き衆生です。僕は
 映画で満足する主義です。同じ劇を見るなら新興劇団なんかを__」
  「えゝ私もシネマで満足ですわ。それに新興劇団のお芝居をそれは見たい
 んですの__でも母がたゞ恐ろしがつて、見にゆくのいやがつて、いけない
 と申しますのよ」
 [略]
  「ハヽヽヽヽ、それは御無理もありません。僕の母なぞも僕の学生時代の
 親友がその方に入つて働いて居るのを恐ろしがつて、僕が仲間に加わらない
 と云う事を非常な幸福に感じて居るくらいですから__」
  「どうして、お母さんつて皆小市民的なんでしょう」>
(p71-73『共通心理』)

 大衆小説? 少女小説? 家庭小説? なので、ちょっとした波乱の後に
靖夫と雪子は結婚する。新婚旅行先には、雪子がお見合いした大金持ちも、
新婚旅行でやってくる。そこへ、彼に捨てられた女が押しかけてきて刃傷沙汰
が起きる。メロドラマなのである。

 やや身分違いの結婚をしたふたりだが、雪子は謙虚に靖夫の母に仕えよう
と思う。新婚旅行は京都にも廻る予定だったが、ここで打ち切って、義母と
三人でいつか京都に行こうと提案する。

 東京でふたりを待つ二人の寡婦は、こちらも身分差を越えて親しくなり、
エンディングの愛国婦人会への寡婦年金、共同寄付に至る。

<此度現今の農村不況にて多数の売られゆく娘達を御救済の為に御会の
 御活動有る由を新聞紙上にて承知致し、私共市民として、せめても社会の
 お役に立ちたく[以下略]>(p195『エピローグ』)

 作者も作中人物も読者も、決して"小市民"階級則を越えない、という了解の
確約みたような作品なのだろうか、これは?
 敗戦後、11年経ってまた出版したのは、ストーリーがまだ有効だと思われた
からだろうか?


     (吉屋信子『小市民』 東方新書 1956初 帯)





呪 亜屁沈臓/呪 汚池腐裏子/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/呪 吐爛腐・夷蛮禍/

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 上記のPDF





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by byogakudo | 2017-12-31 19:53 | 読書ノート | Comments(0)