猫額洞の日々

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2018年 01月 06日 ( 1 )


2018年 01月 06日

森茉莉付近(47)/(2)森まゆみ『鷗外の坂』読了

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~1月3日より続く

 1994年春から季刊「アステイオン」に連載したものが
ベースになっている。
 <ほぼ鷗外その人と親族、同時代の証言を頼りに>、
書かれた鷗外論だ。 

< 鷗外その人を描くよりも、鷗外の側(そば)にいた、共に
 暮した家族に光を当てることによって、鷗外にも反射させ
 ようと考えたがその成果は心もとない。とりわけ従来、教育
 ママとされる峰、悪妻とされるしげ、路頭の花のようにうつり
 がちな"エリス"、児玉せきらに対しては、それぞれの立場に
 心を寄せて描いたつもりである。彼女たちの抱えた問題は
 私の問題である。しかし、それによって現時点から鷗外を
 断罪しようというつもりもない。
  人間は多面的なものであり、人は他人の中におのれの似姿
 をさがす。「出世を争う官僚」「論争する文学者」「闘う家長」
 という見方もできよう。しかし、家族の記憶の中にある「微笑
 する鷗外」が、私の強く感得する鷗外である。>
(p423『微笑の人 鷗外』)

 鷗外は、ふと興味を覚えた人物について調べ出し、その調査の
プロセスを記す史伝小説__森まゆみによれば"掃苔小説"__
を書いた。
 森まゆみも、書かれたものの読み解きと、歩いて調べたこととを
基に淡々と、できるだけ公平な眼差しを保つことを心して記述する。

 森鷗外と女たち、とも言える本だ。近代の家族制度の鬱屈を、改めて
考えさせる。(<人は他人の中におのれの似姿をさがす>ので。)

 鷗外の母・峰は、明治維新によって扶持を経たれた森家再興の夢を、
長男に託す。
<家事万端のみならず、理財に長(た)け、貯金や家作(かさく)の購入や
 家計の算出にも巧妙で株の取引までしたといわれる>
(p342『第八章 二つの家』)峰にとって、森家というイエは、一種の
同族経営の会社組織みたようなものではなかったか。
 経営者は彼女である。

 会社は有能な人物を有効に配置したい。婿養子である夫は、町医者と
しては有能だが、家名を高めるには不向きな引っ込みがちな人柄であり、
遺伝子的には他人である。峰にとって森家とは、血縁共同体の周囲に、
遺伝子的他者を配合した組織だったのではないか。
 べつにこれは森峰だけでなく、イエ意識のあるところ、多かれ少なかれ
抱かれた感情であるが。

 そんなイエ(=同族会社)に、鷗外は(あなたの息子ではあるが)、
今はわたしの夫であると固く信ずる、モダーニスト・しげが妻として、
遺伝子的他者として登場してきたら、それはトラブルが起きない方が
不思議である。

 団子坂の家を二等分する形で暮すことで、表面の軋轢は静まっても、
底流には穏やかならざるものが流れる。(余談だが、二世帯住宅なんて
妄想神話だということが、この実話からも分かる。)
 イエには、いまだケリのつかない近代の問題が蟠っている。


     (森まゆみ『鷗外の坂』 中公文庫 2012初 帯 J)


(1)森まゆみ『鷗外の坂』
(2)森まゆみ『鷗外の坂』





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by byogakudo | 2018-01-06 22:15 | 森茉莉 | Comments(0)