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2017年 04月 12日

(2)笠信太郎『なくてななくせ』読了

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~3月30日より続く

 1964年から1966年にかけて書かれたエッセイであるが、

< 勲等に至っては数年前、ずいぶん反対もあったのに、そして
 それを復活した手続はどうだったかというと、新しい法律にも
 よらず、すこぶる疑問のある中を、閣議決定ということで強引に
 やってのけられたものでしたが、その勲等の等級を定めるのに
 何か新しく合理的な方法が発見されたわけでもありません。
  いうまでもないことながら、位階や勲等は、文化勲章とか、
 藍綬褒章(らんじゅほうしょう)のような特定の文化的な寄与とか、
 産業上の功績とかを表彰するものとは、まるで違った性質のもの
 であります。なにぶん、前者は、人間の等級をきめるようなことに
 なるのですから。
  そこで、勲等も位階と同様に戦後はすこぶる遠慮がちな姿勢で
 始められました。はじめは八十歳以上の人だけに出しました。
 これなら文句はあるまいというやり方のようでした。それが次には
 七十五歳以上になり、こんどは七十歳以上になりました。足音を
 立てないで歩くというやり方のようです。次は、そして、そのまた
 次は、どういうことになりますか。
  これら一切のことが、デモクラシーを打樹てようと国民すべてが
 決意した戦後の出来事だということは、いかに、段々畑式の社会
 のイメージが、その頭の中から消え去らないかということを示して
 いる、といって差支えありますまい。>
(p241『はげしい人間の「対流」』『第八章 社会のくせ』)

 勲等が<閣議決定という>手法で復活したのは池田内閣のときだ。
"閣議決定"は、自民党政権の伝統芸能として長く継承されている、
という証明だろう。

 近頃は<足音を立てないで歩く>どころか、足音高く、鼻息荒く、
横柄に振舞ってもかまわないという認識が、安倍晋三・独裁政権下の
閣僚、自民党議員・公明党議員、官僚、等々の段々畑ヒエラルキーに
蔓延している。

 明治維新でいきなり四民平等と言われたって、支配されるシステムに
慣れた(新しい日本国)国民は、市民同士で横につながる関係をつくり
上げようとはしなかった。願った人々は少しいたけれど、手をつなぐべき
横からは剣呑視され無視され、段々畑の低層から殺された。
 敗戦後、またしても他者から自由と平等を鼓吹されたが、独立した個人
の横断的つながりは、なかなかできなかったまま21世紀になったが。


     (笠信太郎『なくてななくせ』 朝日文庫 1987初 J)



呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/

 「私人は喚問しながら首相夫人は」識者が語る官邸の暴走

杉田敦・法政大教授 森友学園の籠池(かごいけ)泰典前理事長は
 私人ですが、国会で証人喚問されました。ところが公人たる政治家や、
 官僚は、野党の要求にもかかわらず誰ひとり証人喚問されていない。

 長谷部恭男・早稲田大教授 国政調査権の使い方がいかにも党派的
 です。米議会や英議会では、国政調査権を党派的に発動しないと
 いうのが大原則です。どちらかの党派に有利/不利だから呼ぶ/
 呼ばないという判断は、少なくとも建前としてはしないことになって
 いる。中長期的な国政上の課題について調べることが目的ですから。

 杉田 証人として呼ぶのは、犯罪の嫌疑がある人だとする政治家も
 いました。

 長谷部 話が逆転しています。従来議論されてきたのは、国政調査権
 を行使することで犯罪の捜査や裁判の遂行に不当な影響を及ぼすのは
 よくない、捜査対象者は呼ぶべきではないのではないか、という点
 でした。>

杉田 昭恵氏が国会で証言すれば、白黒がつく可能性もある。
 安倍首相は「悪魔の証明」は出来ないなどと言いますが、当事者の
 言い分が食い違うことは、よくあること。どちらが信用できるかを
 裁判等で判断するのであって、それは悪魔の証明でも何でもない。
 単なる事実認定です。

 長谷部 ボールは政権側のコートにある。同じコートに出て打ち返す
 ことは、悪魔でなくてもできます。首相を侮辱した、というわけの
 わからない理由で私人が証人喚問されている。私人にそこまで要求
 しておきながら、文書は破棄したので何も言えないと官僚は開き直り、
 首相夫人は私人だからで済ませています。極めてバランスが悪い。

 杉田 官僚の文書廃棄については専門家から、違法ではないかとの指摘
 さえあります。保存期間を定めた公文書管理法の欠陥もありそうですが、
 仮に違法とまでは言えないとしても、そうした無責任な行政のあり方が
 許されるものなのか。

 長谷部 違法でなければ何をやってもいいのか。私人であればOKです。
 人のひんしゅくを買うような行為でも、それは個人の判断です。しかし、
 公人や公務員は違う。中長期的な社会公共のために行動する、そのために
 様々な権限や便宜を与えられているのだから、私人と同じように法に触れ
 なければいいということには、なりません。>

教育勅語について__

長谷部 [略]学校は、街頭やネット上のような一般的な表現の自由が
 成り立つ場所ではありません。教育の出発点は憲法26条の子どもが
 学習する権利です。将来、子どもが自分自身で物事を判断できるように
 なるための材料を提供しないといけないのだから、教えていい話とそう
 でない話の線引きがあるのは当たり前です。>





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by byogakudo | 2017-04-12 21:23 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 04月 10日

D・M・ディヴァイン/中村有希 訳『ウォリス家の殺人』読了

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 2015年9月10日に読んだ『災厄の紳士』以来のD・M・ディヴァインだ。
ブログを読み直すと(読んでもストーリーは思い出せない)気に入ってる
ようだが、2冊目を読むまで1年半がかり。あんまりミステリ・ファンじゃ
ないな。

 wikiで見ると、D・M・ディヴァインは1920年-1980年。
 『災厄の紳士』は原作1971年刊、最新作『ウォリス家の殺人』が1981年
の原作刊行。わたしが知らなかっただけで、1994年から少しずつ翻訳されて
いた。長篇の未訳は2点のみ。本格ミステリが見直されてきたので、未紹介
だったディヴァインも注目されたのだろうか。

 これも地味でいいなあ。
 描かれる世界は1960年代のイギリス。語り手は歴史学者、モーリス・スレイター。
控えめな観察者タイプ。離婚して息子があるが、息子は母親から父の悪口を吹き込ま
れて育った。
 父と息子の物語は、タイトルのウォリス家にも"跡継ぎの息子が欲しかった"形で
共通する。ジョフリー・ウォリスは親を亡くし、スレイターの父に息子同様に(!)
育てられた。人気作家であり、今はTVの人気者でもある、派手なタイプだ。

 そうか、エディプスの物語でもあるんだと、いまさら確認。ジョフリー・ウォリス
には別々に遠く離れて育った兄、ライオネルがいる。彼が弟・ジョフリーの家に
顔を出し、近くに住むようになってから、ジョフリーの様子が変わってくる。暗く
なった。 
 カインとアベルの話でもある。ふたりのカイン(モーリスは義兄に近い)とひとり
のアベルだ。

 モーリスとジョフリーの妻(ジョフリーは元妻)は、どちらも家庭的ではない。
 モーリス元妻は美人だが無教育だ。結婚していたころ彼が彼女に気を遣わず、
学者の世界に閉じこもっていたのを今でも恨む。だから息子に彼の悪口を言い
続けたのだ。
 ジョフリーの妻は男を支配したがる。男といわず、ふたりの娘に対しても支配力を
行使したがる。長女がモーリスの息子、クリスと結婚したいというが、もっとお金持ち
の相手が好もしいので、モーリスを呼び寄せて阻止に協力させようとする。

 モーリスが語り手なので、世界は彼の視点によって記述される。女たちの側から
描けば、女の自立意志の萌芽期の物語でもあるだろう。元妻は振り向いてくれない男
への(へたくそな)反抗の形を取り、ジョフリーの妻は、夫(の権力)には女の権力
意志で対抗しようとする。

 こんなことばかりノートしてるから、どんな話だったかを忘れるのだろう。60年代の
カインとアベル物語でも、アベル=ジョフリーが殺され、イギリス田園地帯は不穏な
空気につつまれる。ストレート・ノヴェル風の語り口だが、観察者・モーリスがいつしか
調査に乗出す、ちゃんとした本格ミステリだ。


     (D・M・ディヴァイン/中村有希 訳『ウォリス家の殺人』
     創元推理文庫 2008初 帯J)





呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/





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by byogakudo | 2017-04-10 21:31 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 04月 07日

(2)鴨下信一『忘れられた名文たち』読了

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~4月6日より続く

 『第一章』が野球や演劇・映画批評の名文に、"悪態文"。
 『第二章』は画家、新聞記者の文に、宗教書(説得文)、
取扱説明書。
 『第三章』、浮気小説に身の上相談、俳人・歌人の書く散文。
 『第四章』、口述筆記文、食に関する文、紀行文、天文エッセイ。
 『第五章』が翻訳文、学者の雑文や西洋文物・紹介者の文。
 『第六章』、方言で書かれた文、口頭語的コロキュアルな文体、
記述法の工夫・変遷(正書法)、戯曲作家の雑文。
 『第七章』、時代小説と"です=ます調"。

 こういったおおまかで緩やかな分類(インデックス)で、日本語
の書き言葉について考えてゆく。仮説を立てて立証してゆくのでは
なく、ふだん感じている事柄を軸にして思考の枝葉を増やすやり方
である。
 ホームページを作っていた頃の項目の増殖ぶりを思い出した。

 作家でないわたし(たち)でも、不特定多数を意識した文章を綴る
ことができる。思うように意図が伝わっているかどうかは、ともかく。
 (誰でも書け、)誰が読んでもまず理解できる平易な文体や記述法
(正書法)が定まったのは1960年代半ば以後である、という。

< 司馬遼太郎氏によると、現代口語の書きことばの標準的文体が
 定まるのは、昭和四十年ころだという。ここでいう標準の文体
 とは、それ一つで政治経済のことから身辺雑記まで書き表せる
 ような文体(スタイル)のことだが、[略]
 全員が同じような文体でものを書くようになったのである。
  同じく司馬氏によると、この標準文体は[略]正岡子規に至ると
 いう。[略]
 逆にいえば子規から、昭和四十年ごろ、つまりは日本で大衆社会と
 いうものが成立する年代までの長い間、わが国ではずいぶん種々
 さまざまな文体が同時に併存していたというわけだ。この文章の
 平均化は、テレビによる日本の文化の平準化が四十年代に完成する
 のと奇妙に符節をあわせている。[略]
  こうした標準文体の成立を助けたものの一つに<正書法>の整備
 がある。仮名づかいとそれにともなう漢字の制限・略字体の確定等
 である。>(p291-292『正書法1』『第六章』)

 "標準語"というのは、東京・山の手方言をベースに作られた人工語だ。
鴨下信一が下町っ子の木村荘八の『東京の風俗』から『花火の夢』を
引用しながら、

<一見してまったく標準語文体のようでいて東京下町の言いまわしが
 ずいぶん入っている。>
< ぼく自身が東京下町の育ちだから、この文章が東京方言風に書か
 れているのがよくわかる。[略]標準語の中に方言が隠れている例は、
 細かく見れば東京方言ばかりでなくさまざまあるのだろう。標準語の
 文化規制の問題とこの隠れ方言の問題は、いますこし議論されても
 よいような気がする。>(p253-254『方言1』『第六章』)

 こう指摘されても、根っから<標準語の文化規制>症候群なので、実感的
理解とはいかない。言われてみて、ああ、ここらかと思うくらいで。

 いま、いちばん日本語が読める媒体といえばwebだが、『忘れられた
名文たち 其の2』も出ているけれど1998年刊なので、まだweb日本語に
ついては考察されていないだろう。
 『第一章』に出てくる"悪態文"は可愛さ余って悪態をつくが、webに
そんな余裕(や愛嬌)はない。2ちゃんねる日本語とか、営業右翼・
保守ビジネス・ネット右翼等のひたすらな悪意文が目に余る。


     (鴨下信一『忘れられた名文たち』 文春文庫 1997初 J)



呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/





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by byogakudo | 2017-04-07 22:50 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 04月 06日

(1)鴨下信一『忘れられた名文たち』半分ほど

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 生まれたての赤ん坊は周りの人々の喋る声に反応して
母語といわれる言語を自分に取り入れる。思考する個人
の生活(の初歩)が始まる。話し言葉はそうだが、書き
言葉はどうやって手に入れるのか? 

 教科書に載っている、作家の小説__名文とされるであろう、
それらから学び取るのではない。日常、いろいろな媒体で目に
する雑多な文章、いわば雑文から得た情報で作られるという
前提("仮説"ではなさそう)で、大まかにジャンル分けされた
各種・名文が紹介される。

 そう言われれば、毎日書いているブログ、友人に宛てるメール、
こういった文章の書き方を、わたしはどうやって獲得(?)した
のか。
 いつの間にか身につけたとしか、自分では言い様がないけれど、
毎日目にする日本語の群れから、好き嫌いもあり、選択した結果、
こうなったということかしら? 

 どうしても読めない日本語というのもあって、司馬遼太郎が、
わたしの場合、そう。朝日文庫の『本郷』だったか、読もうと
しても二、三行で止まる。どうにも合わなかった。新聞記者の
文体から出発した文章だろうから、それなら新聞も読めなさそう
なものを、あれらは平気。どういうことなのか。


     (鴨下信一『忘れられた名文たち』 文春文庫 1997初 J)

4月7日に続く~



呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/

 #今村復興大臣辞めろ

 日本ペンクラブ声明 「共謀罪に反対する」

< 公明党の漆原良夫中央幹事会会長は6日の記者会見で、
 「共謀罪」の趣旨を含む組織犯罪処罰法改正案について
 「与党として、4月いっぱいに衆院を通過させ、連休後は
 参院で審議していただきたいと思っている」と述べた。>
(「東京新聞」2017年4月6日夕刊2面)

 むかし弾圧されたから、今度は弾圧する側に廻りたいってこと?
<審議時間を30~40時間程度と想定している>そうで、駆け足で
"審議"、シャンシャン賛成多数、よって本案は可決されたものと認め
ますと議事録には書かせ、これは破棄しないのか。





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by byogakudo | 2017-04-06 21:36 | 読書ノート | Comments(2)
2017年 04月 05日

鈴木創士氏のコラム『第85回 不動の曲線に永遠が…』

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 4月の鈴木創士氏のコラム、『第85回 不動の曲線に永遠が…』

< 病のなかに見え隠れするある種の容赦のない動き。そして病人の
 からだのもつ、偽の、見かけの不動性。それらは両立するかに見えて、
 鋭く対立し、仮象を退けるように(そのひとつは有機体である)、
 互いが互いを欺くように分裂を繰り返している。>




呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/

 #今村復興大臣辞めろ

< 公明党は、国政選挙並みに重視する東京と議会都議選
 (6月23日告示・7月2日投票)に国会日程が重なるのを
 避けるために、[注:共謀罪の審議を優先する自民党に]
 歩み寄った。ある党幹部は「(審議を急ぐ)首相の意向を
 忖度(そんたく)した。都議選には全議員が集中しなければ
 ならない。会期延長はとんでもない」と漏らした。>
(「東京新聞」2017年4月4日朝刊2面)
 
 日本国の住人は日本会議の連中にナメられきっているのみならず、
元々は日本会議と反発し合った関係であるはずの創価学会=公明党
からも、ナメられている。





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by byogakudo | 2017-04-05 20:08 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 04月 04日

フレドリック・ブラウン/中村保男 訳『モーテルの女』読了

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 邦題は『モーテルの女』で、たしかにモーテルで女が殺される話だが、
原題は"ONE FOR THE ROAD"。これはどういう意味だろう? 読み
進むと、終りの方で"(バーを)出がけの一杯"という言い方が出てきた。
これだろう。事件解決の様子にも引っかけた言い方だ。

 フレドリック・ブラウンは近年になって、いい作家だと思うようになった。
70年代は、いわゆる気の効いたSF短篇の作家くらいにしか思っていなかった
(し、それゆえに忘れ去った作家だった)けれど、アムおじさん・シリーズ
(エド・ハンター・シリーズ)を続けて読んで、50年代・教養小説の感じの
よさに、あらためて好きになった。

 シカゴという大きな都会の片隅で送られる小さな生活が描かれたのが、
エド・ハンター・シリーズ第一作だった。
 国家としてのアメリカは巨大だけれど、人々の生活は人並みサイズでしか
なかった時代。小売店や中小企業など、小さな仕事で人々が生計を立てら
れた時代へのノスタルジーが、フレドリック・ブラウンを心地よく読むこと
と繋がっているのかしら。

 『モーテルの女』でも、主人公の青年は、新聞記者になりたいと願って、
まず、小さな町の週に一回だけ発行される新聞社からキャリアを始める。
その町で電話交換手をする娘と知り合い、ふたりは彼がひとりで二人分
稼げるようになったら結婚しようと約束する。

 事件なぞ何も起りそうもない町だが__そういうところに限って起きるん
だって!__、主人公と同じように、よそから来た女性がモーテルで殺される。
 地元出身である警察署長は、顔見知りばかりなのでどうも聞き込みしづらい。
青年は、彼のよそ者性を活かして町の人々に聞き込みを続け、事件解決、彼女
との結婚も可能になる。

 町の人々の、こじんまりした生活ぶりの描写がいい。警察署長はいつも奥さん
に電話してるし、バーの主人はむかし歌手だったので、ときどき美声を披露する。
モーテルの女主人が詮索好きだったり、新聞社の社長はケチだ。
 契約のとき、先に期限を決めておかなかったせいで、主人公は安月給の年季
奉公みたいな境遇に置かれる。
 ほろ苦い生活感がすてき。


     (フレドリック・ブラウン/中村保男 訳『モーテルの女』
     創元推理文庫 1967初 J)



呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/





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by byogakudo | 2017-04-04 23:04 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 03月 30日

(1)笠信太郎『なくてななくせ』を読み始める

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 名前は知ってるけれども、読んだことがあるかどうか分からない、
笠信太郎。
 『なくてななくせ』は1964年から1966年まで「暮しの手帖」に
連載後、1966年、暮しの手帖社から単行本刊行。戦後復興が一段落
するかと思えば、はでな経済成長ぶりが目立ってきた頃に書かれた
(のだろう)。

 明治以来の近代化に伴う、あくせく、息せき切った日本の常態を、
江戸の、武士と町人の関係に始まるものと考察しているようだ。
 ヨーロッパの市民と江戸の町人との違いを言われると、自治都市
の歴史をちゃんと知らないなあと、反省する。


     (笠信太郎『なくてななくせ』 朝日文庫 1987初 J)

4月12日に続く~



呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/

 公明党は"共謀罪"討議に入るのを後回しにしたいと自民党に
伝えることで、自己弁護するつもりだろうか。強行採決になった
としても、与党なので賛成せざるを得なかったのだ、と言える
ように。

 創価学会員から批判が出ても、努力したが自民党の暴走を押え
られなかった、力不足ですまなかったと詫びれば、それで申し開き
できるとでも、ナメてかかってるのだろうか。選挙になれば、どうせ
学会員は自分たちに投票するはずだ、と。
 「日本を、売り飛ばす」安倍晋三の翼下にあって、「平和の党」と
自称しつづけるのか。あつかましい。





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by byogakudo | 2017-03-30 21:47 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 03月 29日

(2)アルフレッド・ベスター/中田耕治 訳『虎よ、虎よ!』読了

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~3月27日より続く

 "ジョウント"と呼ばれる能力によって就ける仕事に差異が
生ずる時代設定だ。行きたい場所を思い描くことで実際に行き
つける能力"ジョウント"の距離で等級分けされる。最低が8km、
最高が1600km。ジョウントできなければ最下層に甘んずる
しかない。

 主人公、ガリヴァー(ガリー)・フォイルの履歴は、筋骨
たくましく身体剛健なれどジョウント能力ゼロ。最低辺の
プロレタリアートだ。
 壊れた宇宙船の、ただひとりの生き残りで、棺のようなロッカー
をねぐらとして、宇宙空間を漂うこと170日。やっと近くを宇宙船
が通った。救難信号を発したのに、無視される。

 怒りと復讐心が彼を覚醒させた。無知で無気力だった男が、
自分の頭を使って壊れた宇宙船を動かし、地球に戻ろうとする。
その途中で、宇宙の塵捨て場みたいなサルガッソ小惑星に拾われ、
顔中に虎様の刺青を施される。

 怒りと復讐心は眠っていたエネルギーを解放する。ガリー・フォイルは
超ジョウント能力を発揮する。1600kmどころか、宇宙空間を瞬時に
ジャンプ、地球に生還した。
 復讐の鬼と化したガリーは、金をつくり、顔の刺青を消し、宇宙船の
持主などの集まる上流社会に新人・成金デビューする。
 そのパーティ場面で、はたと気づいた。これって『がんくつ王』!
子ども用にリライトされた『がんくつ王』しか知らず、涙香の『巌窟王』
も「モンテ・クリスト伯』も読んでいないが。

 あとはもう、目覚めよ、人類!とばかりに、次から次へと事件を起こして
遂に"太陽系の敵ナンバー・ワン"になっちゃうガリー・フォイル。めくる
めくストーリー・テリングだが、アルフレッド・ベスターは、恋愛場面が
向かない。
 パーティで仇の娘(彼と似た、悪への意志をもつ娘)と知り合い、恋に
落ちるが、そう書かれているだけで、ちっとも伝わってこない。物語を
動かすダイナモにならない。三島由紀夫『黒蜥蜴』なら、二人で悪の
アリアを詠うべきシーンなんだけどな。みごとに使い捨てのエピソード
として、後を引かない。

 そんなささやかな弱点(?)なぞ、ものともせず、バロックな歪みと
輝きをきらめかせて『虎よ、虎よ!』は急速に終息・終結する。
 大傑作だった。

     (アルフレッド・ベスター/中田耕治 訳『虎よ、虎よ!』
     ハヤカワ文庫 2008初 J)



呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/





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by byogakudo | 2017-03-29 21:44 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 03月 27日

(1)アルフレッド・ベスター/中田耕治 訳『虎よ、虎よ!』半分弱

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 かっこいいなあ! こんなにかっこよかったの?! うすくはかなく、
読んだことがあるような気配は感じるが、見事に忘れていて、かっこよさ
に圧倒される。寝る前に読むにはまるで不適当。佐藤春夫の探偵小説随筆
に目を通し、気を落ち着けてから寝む。

 たたみかけるようなリズム、めくるめく展開、グルーヴィ!

 なんの紹介にもならないけれど、そういう本なので、ビートニクあるいは
パンクなので。

     (アルフレッド・ベスター/中田耕治 訳『虎よ、虎よ!』
     ハヤカワ文庫 2008初 J)

3月29日に続く~



呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/

 森友問題の謎を解くカギ・・・官邸内のメカニズムを知る必要

 異常な民間人の証人喚問と「森友国会」の裏で着々と進む悪法制定の動き
安倍晋三は、ほんとに日本を崩壊させるつもりだろう。種子法の廃止法案、
水道民営化法案、家庭教育支援法案、親子断絶防止法案、医療ビッグデータ
法案、放射線防護基準緩和法案などによって。

 TVや新聞、殊にTVできちんと報道しないので、いまだ安倍晋三・独裁政権
の支持率、52・4%(前回より3・3ポイント減)
不支持率、32・5パーセント。
 支持率がトランプ(支持率40%台)より高いなんて、国辱的。





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by byogakudo | 2017-03-27 15:33 | 読書ノート | Comments(0)
2017年 03月 26日

一ノ瀬俊也『明治・大正・昭和 軍隊マニュアル 人はなぜ戦場へ行ったのか』読了

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 情報の伝達を旨とする新書判って、"遊び"や余白が少なくて
読みにくいものではあるけれど、なんとか読了。

 著者・一ノ瀬俊也のいう"軍隊マニュアル"は、
<徴兵にまつわる「決まり文句」の数々を収録した「マニュアル」
 本である。[略]
 今日でも書店に行けば売っている、『挨拶・式辞文例集』や
 『手紙の書き方』といったジャンルの本の軍事版>(p5)である。

<兵士とその周辺の人々の「あるべき」振る舞いを規定した、
 (主に)市販の書籍であり、大きく分類するならば、
   (1)入営した兵士のための兵営事情案内・軍隊教科書(『兵卒
     須知(すうち)』などの名がつけられた)
   (2)軍隊・戦場にある兵士と一般人とが相互にやりとりする手紙
     例文集
   (3)兵士の入営・凱旋・葬儀の際用いる、式辞・挨拶模範>(p6)

の3つである。
 
 たしかに兵営事情案内は必要だ。最初から職業軍人を志願した男なら
ともかく、普通の職業人が徴兵されて、見知らぬ連中の仲間になり、徴兵
期間を過ごすのだから、勝手が分からないと不安で困る。
 先輩から殴られるなんて噂も聞こえる軍隊なので、情報は