猫額洞の日々

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カテゴリ:読書ノート( 2344 )


2005年 11月 15日

「ガラマサどん」

 佐々木邦は小説家になる前は英語教師だったそうだが、昨日書いたspontaneous
combustionの話など、たぶん英書で読んだのではないだろうか。どんな本・雑誌から
得た知識か、わからないけれど。

 岡本綺堂もそうだし、横溝正史も同じく、むかしの小説家たちは少なくとも英語が
読める人たちが多かったようだ。そもそも探偵小説や大衆小説と呼ばれるジャンルは、
黒岩涙香の外国種の翻案から始まっているし、外国語ができることが必須条件だったの
だろう。
 (いまは日本語の小説すら読まなくたって書けちゃう時代らしくってと、また大声で
ひとり言を言っておりますが。)

 森田思軒訳の「十五少年漂流記」というタイトル付けから、佐々木邦「苦心の学友」
まで、本気にデモクラシーが考えられた時代があるという仮説は立てたのに、無知故に
論述できない悲しさ。


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by byogakudo | 2005-11-15 18:47 | 読書ノート | Comments(0)
2005年 11月 14日

人体自然発火

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の記述が昔の小説中にあった。海野十三あたり?いえいえ、佐々木邦「ガラマサどん」
(講談社 大衆文学館文庫コレクション 96初)です。初出は30年1月から12月までの
講談社の雑誌「キング」。当時の新階層・サラリーマン社会がおっとり ユーモアを
込めて描かれています。

    立身出世したビール会社社長「ガラマサどん」が かつての恩人の死の様子を
    語るに:
     好い人だった。しかしひどい死に方をしたよ。・・・我輩が医者を呼んで
    来た時にはもう悉皆(すっかり)いけなかったが、未だ煙が出ていた。身体の
    内部が燃え上ったんだから溜まらない。・・・
     大酒飲みだったから、身体中がアルコール分になってしまって発火したんだ
    そうだ。
     自然爆発という奴で、強い酒を飲む西洋人には時稀(ときたま)ある現象だ
    そうだが、日本では初めてだと言って医者が感心していた。煙も出たし、
    身体中が黒くなっていたから、あれは確かに燃えたんだね。
     どうせ酒で死ぬんだと始終言っていたが、実にひどい死に方をした。
    身体中がアルコール分なら、全く危い話だ。斯う(こう)やって葉巻を
    銜えて(くわえて)いれば、口火をつけるのも同じことだから、直ぐに
    爆発する。お祖父さんは屹度(きっと)煙草を吸っていたんだよ。


 最後の「お祖父さん」が恩人のことです。この部分だけ読むとSFみたいですが、
あくまでもユーモア小説ですから、お間違いなく。


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by byogakudo | 2005-11-14 17:51 | 読書ノート | Comments(0)
2005年 11月 13日

「東京人 特集 東京なつかし風景」

(03年5月号)、雑誌をゆっくり読んだのは数年ぶりではないだろうか。古本屋を
始めてから特に、雑誌が読めなくなった。大抵 寝床向きのサイズではないので昼間に
読むしかないが、日中は これでも雑用があるので、眼で文字を追っても頭に入り辛い。
雑誌はどれも眺めるだけで棚に出すしかない。

 金曜日は部屋に持ち帰って1冊じっくり読んだ。TVで放送された戦後の東京風景が
どっさり載っていて愉しい。川本三郎・泉麻人の対談の結びの言葉が
   「ついこの間の近過去の話でこんなに盛り上がれるのは東京のおもしろいとこ
   です。・・・東京は街がすぐ変わってしまうけれど、そのせいもあって
   ちょっと前の街がすぐなつかしくなるんでしょうね。」
というのは その通りで、かなしい。まさか人々の思い出に残るために いつも普請中
という訳ではあるまいが。

 ときどき亡命したくなる。どこへ?


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by byogakudo | 2005-11-13 19:18 | 読書ノート | Comments(0)
2005年 11月 05日

「ハリスおばさんニューヨークへ行く」

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 書き忘れていたが、文庫版のジャケット画・挿絵・カットは 上田とし子である。
愛らしい。途中から飛ばし読み。もう少し違うタッチを期待していたのだけれど__
タイトルを例によって忘れているオグデン・ナッシュ(?これも自信がない)の
アメリカ人一家のパリ旅行ものみたいな感じかと予想していたが、やや教訓調?

 ミステリのお師匠さんがいらっしゃる。ブリーン「もう生きてはいまい」の話を
したら、やっぱり他のブリーン作品も持っておいでだ。今度貸して頂くことになった。
最初の3~4作はしっかり書かれて面白いけれど、あとはユルくなるそうです。パズルを
作るみたいな本格派は、そうそう秀作ばかりは続かない、ということだろうか。

 今日は晴れて散歩日和。静かな日々が続きすぎて くたびれ果てている、
週の始まりの亜種古本屋です。モチヴェイションを探せ!


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by byogakudo | 2005-11-05 14:42 | 読書ノート | Comments(0)
2005年 10月 31日

「東京の地霊(ゲニウス・ロキ)」読了

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 面白かったけれど装幀に疑問。平置きしたときを考えたデザインだろうが、
菊池信義風?に「ひらの文字」下に影が付けてあったり、「ひら」四隅が
ジャポニスムめいた意匠で縁取られていたりするのが、果たしてふさわしいかしら?
 何か違うという感じがする。

 後記に「ゲニウス・ロキ」と「アニマ・テラーエ」の概念の違いについて
述べられている。
 「ファウスト」第一部 冒頭に現れる「地霊」はErdgeistであり、錬金術的な思想に
連なる 大地そのものの力のことであり、この概念はAnima terraeに結びつく。つまり
Erdgeist「地霊」は場所・locusではなく、大地・terraに至る概念だそうである。
 これに対し「ゲニウス・ロキ」は、
 「ある場所の『雰囲気』がそのまわりと異なっており、ある場所が神秘的な特性を
持っており、そして何か神秘的なできごとや悲劇的なできごとが近くの岩や木や
水の流れに感性的な影響をとどめており、そして特別な場所性がそれ自体の『精神』を
もつとき」、そこに「ゲニウス・ロキ」の存在が認められるそうなのです。

 シャンとしない要約・引用で申訳ない。要は、日本の翻訳の歴史上、大地の力を
意味する「地霊」がまず作られたので、同じく「地霊」と訳すしかなさそうな
場所性の概念・「ゲニウス・ロキ」は、「地霊」と書いて「ゲニウス.ロキ」と読んで
下さい__って要約でいいのでしょうか? どうも頭が廻らない。

 装幀だけ見ると、わたしには大地性の「地霊」が感じられて仕方ないのです。たぶん
タイトル文字の影のせいで。


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by byogakudo | 2005-10-31 15:55 | 読書ノート | Comments(2)
2005年 10月 29日

「東京の地霊(ゲニウス・ロキ)」

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 (鈴木博之 文藝春秋 90初)は、店にあったと思うが見当たらない。売れてしまった
ような気もする。買い直して昨夜から読み始める。従って短篇ミステリ集は中断。

 まだ半分くらいだが、第3章「文京区 護国寺」を読みながら思いつく。
 護国寺が都内の茶道のメッカ?になったのは、関東大震災以後、由緒ある茶室を
移してからのことだそうだ。この遣り口を学んで、商店街に人気(ひとけ)を取り戻す
ことはできまいか。

 街が、人とものとが流通する場所としてあるのなら、きっかけになる何かをそこに
設置することで、新たな方向性が与えられないだろうか。新しいビルを作るような
再開発の話ではなく、現にそこにある建物・設備を違った角度で使用することで、
街にみずみずしさが取り戻せないかと、思ったのだ。

 「むかしながらの」をアピールするだけでは「売り」が弱い。若い外部の人たちが
2、3店舗でも加わったら、街は確実に活性化できると、わたしは思う。開かれてこそ
街、と。


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by byogakudo | 2005-10-29 15:17 | 読書ノート | Comments(0)
2005年 10月 26日

「密室大集合」

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(ホック編 ハヤカワ文庫 87年3刷)、第1編「山羊の影」(カーのバンコランもの)が
終わらない内に睡魔に襲われた昨夜。
 昏々と眠り、きょうは眼が痛くない。体調も悪くなく、しかし雨がふり出した。
 「わがこと終んぬ」の暗黙の了解裡にネットに載せる本を選び、アップしては
付箋をつけ、棚に戻し、ふたりで時を殺す。

 「密室大集合」の前に読んだのが(「銀座ミステリー傑作選」に続き)「横浜
ミステリー傑作選」(三好徹編 河出文庫 86再)だが、長部日出雄と日影丈吉しか
結局読まなかった。
 日影丈吉の「赤い輪」は70年頃、学生運動とヒッピー・ムーヴメントの混じった
空気が、すっきり静かに伝わってくる。
 長部日出雄は「蓬莱山に消えた・・・」、同じ河出文庫に入っている「ハード
ボイルド志願」からだ。「ハードボイルド志願」の「志願」というところが泣かせる、
なかなかの冗談ミステリだと思うが、まだ同好者に会ったことがない。


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by byogakudo | 2005-10-26 13:47 | 読書ノート | Comments(0)
2005年 10月 24日

「もう生きてはいまい」読了

 原題が HARDLY A MAN IS NOW ALIVEだが、結局 誰のことを指しているのだろう?
よく解らない。翻訳者・西田政治はたしか、横溝正史の友人の探偵小説家だった。

 もし復刊されるなら、新訳で出した方が売れると思うのだけれど。西田訳は決して
悪くはないが、「部屋」が全頁「部室」表記であったり__何か信念あっての表記かも
知れないが__、未婚女性は全員「・・・嬢」付きだったりだから、カーの継承者で
売るにしても新訳の方が、若い読者には読みやすくないだろうか?
 ルイザ・メイ・オルコットやホーソンもコンコードの住人だとか、米国史__
アメリカ独立戦争時のエピソード__が、ちゃんとミステリ中に組み込まれていて、
同じカーの継承者と呼ばれても、ポール・アルテより遥かに手際よく書かれている。
               「もう生きてはいまい」(ブリーン HPB 56年3刷)

 荒俣宏編「大都会隠居術」(光文社文庫 96初)を再度 入れた。荷風と平井呈一との
関係についてや、河原晉也「幽霊船長」抄録があって好きなアンソロジーだ。
 「幽霊船長」は、絶対に持っている筈のお客さまにお聞きしたら、
「あったけど、売っちゃったか、入り込んじゃったかだよ」とのお答えに悲しんだ
ことがあって、まだそれ以来、手にしていないのが悔しい。


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by byogakudo | 2005-10-24 15:36 | 読書ノート | Comments(0)
2005年 10月 20日

昨日に追加訂正

 昨日の川村二郎?評論集について、もしかして確認が取れるかも知れないと思い、
友人に連絡しているところ。彼も覚えていない可能性もあるけれど、もし詳しいことが
解ったら書きます。

 ペーパームーンのヴィスコンティは目録08aに入れました。

 気がつけば近頃、短篇ミステリをよく読んでいる。「詐欺師ミステリー傑作選」
(小鷹信光編 河出文庫 90初)の次は「銀座ミステリー傑作選」(三好徹他 河出文庫
87初)と。どちらも気持よく読める。

 詐欺師の話は大抵ほほえましい。その努力をカタギの仕事に向ければ、結果的に
もっと稼げるのではないかと思われるのが現実の詐欺事件だが、物語の中の
詐欺師たちも努力の人だ。涙ぐましい。
 似たようなことでも国家や大企業が手がければ、バックに信用があるということで
国家的事業なり経済行為と認められるのに、フリーランスの個人や小人数で行うと
犯罪に問われるのは、不思議である。
 国だって信用を失えば通貨危機に陥り、その時点では国が偽札を発行しているに
等しい状態になっているというのに、不公平な気がする。

 「銀座ミステリー」は巻頭の横溝正史「銀座小景 或は、貧しきクリスマス・
プレゼント」がよかった。ミステリーではなく戦前の銀座スケッチ。
 できたての「新青年」増刊号を持った横溝と水谷準が、カフェ・ライオンの窓辺で
銀座の夜店の様子を見ながらの話で、きっちりクリスマス・ストーリーになっている。


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by byogakudo | 2005-10-20 14:58 | 読書ノート | Comments(0)
2005年 10月 15日

「聖なる怪物」読了?

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 後半を飛ばし読みしたので、「読了?」である。しっかり書かれているけれど、
めんどくさくなった。

 「ノーマン・デズモンドの悲劇/すべての男はホモセクシュアルである」みたいな
物語だ。つまり男優版「サンセット大通り」であり、いまや酒とドラッグで廃人化
した演技派スターと、その幼なじみの男友だちとの長い長い付き合いの様子が、
インタヴューに答えるモノローグ形式でしぶとく描かれている。バビロンとしての
ハリウッド風景も、あんまり しつこいと飽きてくる。悪い作品ではないが。

 一昨日の「死霊の叫び~古賀新一恐怖傑作集~」は、「エコエコアザラク」の漫画家
だそうだけれど(「エコエコ・・・」は読んでいない。題名は聞いたことがある。)
貸本漫画風というのか、古風な絵が効果的だった。「妖虫」連作が好きだ。


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by byogakudo | 2005-10-15 15:20 | 読書ノート | Comments(0)