猫額洞の日々

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カテゴリ:読書ノート( 2423 )


2006年 03月 06日

Au Printemps PARIS 1937 読了(?)

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 日記は37年2月19日(金)で終わっている。手書き文字はそのひとの書き癖に
慣れるまで読み難い。ざっと目を通しただけであるが。

 近現代史にヨワイので年表を見ると、36年に二・二六事件や日独防共協定、
37年7月には日中戦争が始まっている。最後の小春日和の頃の記述だ。

 冬休みのスキー行では <どこかの部屋よりきこゆる男女合唱の絶間なきを
心地よく覚えながら何時しか眠る。>

 彼は写真好きで雪山でも撮影しているが、乾板!とフィルムを切らして補充したり、
2月3日(水)には赤外線乾板とアドン(?)を用意して学校屋上から富士山を撮る。
   <本日ほどの山姿の明澄なるは一年に一、二の日あるのみ。>__もうこの頃
でもそうだったのか。

 日記が続いていたら、戦争については どう書かれていただろう? 技術者として
戦争協力やむなし ということになっていたのかしら、どんなに穏やかな日々を
愛していたとしても?

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by byogakudo | 2006-03-06 14:12 | 読書ノート | Comments(0)
2006年 03月 05日

Au Printemps PARIS 1937

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 写真は、一昨日書いたプランタン百貨店製備忘録です。少し日記が記されて
いるが、書き手は若い女性にあらず、一家の主である。まだ全部チェックして
いないけれど、大学?で講義したり、「サンフランシスコの大橋」について
JOAKで放送したりもする、新橋に事務所を構える土木工学系の男性。
 この備忘録はパリ留学時に購入されたらしい。
   <37年1月19日(月) 夕刻 新橋にゆく。雨は舗道を濡してネオンサイン
   おぼろげに空をいろどる。巴里サン・ミッシェルのあたりを想起す。>

 家計簿兼日記帳で、焦げ茶色の罫線がきれいだ。日記は飛び飛びに付けられている。
お正月休みに蔵王へスキーに行ったり、執筆を終え 閑ができたので温室の手入れを
したりと、戦前の中流生活が窺われる。

 09 ケセランパサラン

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by byogakudo | 2006-03-05 15:05 | 読書ノート | Comments(0)
2006年 03月 04日

「東京物語 昭和史百一景」途中

 自分の知っている場所の歴史の方に興味が行く。説教強盗の住んだ巣鴨の長屋と
言われても、土地勘が働かないのでイメージが浮かび難い。

 だから「闇金融『光クラブ』 中野区鍋屋横丁」なぞには、とても惹かれる。銀座
松屋裏手に越すまで、最初の「光クラブ」は鍋屋横丁にあったと記されているが、
いまの地番で言うとどこだろう? たぶん1階ではなく2階にあったと、I 文庫さん
とも推理が一致したけれど、具体的にはどこと指摘できない。なんとなく残念である。

 「二・二六事件処刑地 代々木公園」の項では、十年以上前 税務署に行った日の
できごとを思い出した。
 やっと終わって帰るさ、何故ここに観音像があるのかなあと ぼんやり眺めていたら
声をかけられた。見知らぬ中年男性だ。
 この像は二・二六で処刑された人々の慰霊碑でと、説明文の前に連れて行ってくれ、
彼の親戚も連座して処刑されたと言う。それから戦争の話になったのか。彼自身は
敗戦時に軍属だったが、外地には行かなくてすんだらしい。

 話を聞きながら、彼は自分の家族とはこの話をしたことがない、見知らぬ他人
だからこそ、生き延びてしまった辛さや思いを 抑えながらも語ることができたのでは
ないか という印象を受けた。
 「亡くなった方の分まで生きることが必要ではありませんか」と、 賢しらな言葉を
持ち出す余裕はなかった。

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by byogakudo | 2006-03-04 16:37 | 読書ノート | Comments(0)
2006年 03月 02日

「書物漫遊記」

 困った末に、雨の中 店を片づける どさくさまぎれに 種村季弘の文庫本を2冊、
引っ掴んで帰る。「書物漫遊記」と「食物漫遊記」、どちらも86年初と85年初の
ちくま文庫であり、すでに読んだことがある。いよいよネタ切れ か。

 しかし案ずるより気持よく再読できるのが有難い。半分くらい読み直して、
こんなに戦争の記憶が強い記述だったっけと思う。

 第1章 不思議な節穴 武井武雄『戦中気侭画帳』 の章なぞ、痛い。
 戦前・戦中の小学生時代、池袋に住んでいた種村季弘の近所に武井武雄邸が
あった。
 門や主屋は純和風、ルネサンス風の柱廊伝いに洋風アトリエという作りで、
戦中は中庭の噴水は水が枯れ、温室の菊は凋んでいる有様で、幽霊屋敷のような
印象だったらしいが、その中に立て籠って外を見続けた武井武雄の眼が
「戦中気侭画帳」に表れていると言う。

 敗戦後に育った人間から見ると、戦中は何でもかでも統制・規制されていた
ように思われるが、実際はまだリベラリズムの残り香が漂っていたこと、戦局の
悪化につれて人々の表情やたたずまいが惨めになっていく様子が「画帳」に
描かれているが、種村季弘にとってこの本が大事なのは、少年期を過ごした街と
人々の記憶が、もはやこの本の中にしか求められないことにある。
 街は45年4月13日夜の空襲で消滅した。彼はこども時代の家の跡を訪れようとは
しない。
   <私の家のかつてあった場所は、いま二軒に区切られて、三味線屋と
   一杯飲み屋になっているという。人伝てに聞いたその話だけで私には充分
   である。かりに訪れてみても、そこにがあるわけはなくて、
   のつづきがシラケているだけに違いないからだ。>

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by byogakudo | 2006-03-02 16:14 | 読書ノート | Comments(0)
2006年 03月 01日

「人間以上」読了

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 久しぶりにゲシュタルトという言葉を眼にした。緻密に構成されたSFであるが、
大好きと言うには もう一つ。たぶん、この肯定的なトーンがあまりノレない原因
だろう。とても良くできているのだけれど、マイナー・ポエト好きが災いして
いい読者になれない。スタージョン、すまない!(スタージョン 早川文庫 01年24刷)

 いよいよ今夜の本がない。古本屋腐し__(c)「たわごとの庭」a 氏__の雨が
続いているのに暢気なことを言っているが、寝床本がないのは恐怖である。

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